公開日:2023.02.07 更新日:2024.01.31
「空き家」の定義とは?放置しリスクが高まる前に空き家対策を!
日本の空き家は今なお増え続けており、行政やメディアが「空き家問題」のリスクをさまざまな形で報じています。
ですが、「空き家」という言葉自体の知名度とは相反して、空き家の明確な定義を説明できる人はそれほど多くないかもしれません。
そこで今回は「空き家の定義」をテーマに、法や行政による空き家の定義や判断基準、空き家のリスクなど、知っておくとタメになる情報を分かりやすくまとめます。
目次
意外と知らない「空き家」の定義とは?
そもそも「空き家の定義を理解することに何の意味があるのか?」と感じる方も多いでしょう。
実は空き家の定義について正しく理解していないと、さまざまなリスクが高まってしまう可能性があるのです。
「空き家」の定義
空き家の定義については、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」の第二条(定義)において以下のように記されています。
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法
つまり、以下すべての条件に合致するものを「空家等」と呼ぶことが法的な定義となります。
1.建築物又はこれに附属する工作物である(敷地を含む) 2.居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの 3.国または地方公共団体が所有・管理していないもの |
「空き家」の判断基準
先に法的な定義を紹介しましたが、専門的な言葉が用いられていたり、表現があいまいな部分がいくつか存在しています。
そのため、「実際にはどのようなものが空き家と判断されるのか?」が分かりにくいと感じることでしょう。
そこでここからは国土交通省の資料などをもとにした具体的な判断基準を交えながら、空き家の定義をさらに深堀りしていきます。
1.「建築物又はこれに附属する工作物」とは?:土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱または壁を有するもの。また、これに附属する門または塀などを指す。 2.「居住その他の使用」とは:人の日常生活が営まれていない、営業が行われていないなど当該建築物を現に意図をもって使い用いていないことを指す。 3.「常態」とはどの程度の期間を指すのか?:建築物などが長期間にわたって使用されていない状態を指し、およそ年間を通して建築物などの使用実績がないことが1つの基準となる。 |
これらの具体的な判断基準をまとめると、「おおむね1年以上、生活や営業に用いられていない特定の建物(附属する工作物や門、敷地など含む)」=「空き家」に該当する可能性が高いと考えることができます。
空き家の中でも危険な「特定空き家」の定義とは?
先に空き家の定義を解説しましたが、空き家であるというだけで必ずしもリスクが高いとは限りません。もちろん空き家にはさまざまなリスクが潜んでいるものの、気を付けるべきは「特定空家であるかどうか」です。
ここではまず、特定空家の定義について分かりやすく解説します。
【令和5年12月13日~】空家等対策特別措置法が改正されました
特定空家について知る前に覚えておきたいのが、令和5年(2023年)12月13日の空家等対策特別措置法改正により、新たに設けられた「管理不全空家」という区分です。
管理不全空家とは、放置が進んだ場合に特定空家になる恐れがある空き家のことで、特定空家の前段階の状態です。指定される基準は特定空家と別に設けられており、具体的な基準はガイドラインの別紙1~4に定められています。
管理不全空家に指定された場合は、状態が悪化すると特定空家の指定へと進む可能性があります。所有する空き家の状態が心配な場合は、特定空家と合わせてチェックしておきましょう。
「特定空家」の定義
特定空家とは前述の空家等対策特別措置法第二条第二項で以下のように定義された空き家を指します。
“「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。”
この内容を整理すると、前述の「空き家」に定義されるものの中で、以下いずれかに分類されるものが「特定空家」となり得ます。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 |
なお、具体的な指定基準は管理不全空家と同様のガイドラインの別紙1~4に定められています。
空き家と判断されると何が起こるのか、そのリスクは?
ここまでは空き家、および特定空家の定義について解説してきましたが、実際にこれらの定義に当てはまる空き家にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
空き家にすることの3つのリスク
ここで紹介する3つのリスクは特定空家に限らず、すべての空き家に潜むリスクだといえます。
1.倒壊リスク:建物は年月の経過とともに老朽化が進むため、放置されて手入れの行き届いていない空き家は倒壊するリスクが高くなります。 2.犯罪リスク:人の出入りが少ない空き家は不法侵入や不法投棄、不審火、窃盗など、さまざまな犯罪行為の温床となる可能性があります。 3.衛生リスク:放置された空き家の場合、害虫や害獣が放置される可能性が高くなり、糞尿による異臭の発生や近隣住宅への害虫・害獣被害など、衛生上の悪影響を及ぼしやすくなります。 |
特定空家に指定されるリスク
まず、空き家自体の定義は「おおむね1年以上用いられていない特定の建物(附属する工作物や門、敷地など含む)」となっています。
この中でも以下いずれかに該当するものは特定空家の対象となる可能性があります。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 |
順に見ていくと、いずれも空き家を放置し、適切な管理を行っていない場合に上記4つの状態へ至る可能性が高いことが分かります。
また、特定空家の条件に該当しなくても、前段階の管理不全空家に該当する可能性があります。具体的な指定基準が記載されている、ガイドラインの別紙1~4を確認し、空き家を健全な状態に保ちましょう。
「特定空家」に指定されるとどうなる?
特定空家に指定された場合、空家等対策特別措置法に基づいて以下のような措置が実施されます。
・特定空家の所有者などに対して助言・指導、勧告、命令、代執行が可能となる ・代執行の対象となった場合、取り壊される可能性がある |
つまり、特定空家に指定された場合には、行政からさまざまな形で指導や勧告が行われるだけでなく、罰金規定のある「命令」や、強制力を持つ「代執行」の対象となってしまうのです。
さらに、特定空家への指定後、助言・指導、勧告に対して適切に応じない場合には、固定資産税や都市計画税が減額される住宅用地特例が解除される可能性があります。
住宅用地特例による減税効果
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
敷地面積200㎡まで(小規模住宅用地) | 1/6に減額 | 1/3に減額 |
敷地面積200㎡以上(一般住宅用地) | 1/3に減額 | 2/3に減額 |
特定空家に指定された場合 | 減額なし | 減額なし |
上記の表からも分かるとおり、住宅用地特例が解除されると、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍にまで跳ね上がる可能性があるため、所有者は金銭的なリスクも背負うことになります。
なお、管理不全空家に指定されて勧告の措置を受けた場合も、特定空家の勧告と同様に、住宅用地特例が解除されます。
空き家の所有者は、リスクが高まる前に「空き家活用」のご検討を!
今回は空き家および特定空家の定義、さらには空き家が抱えるリスクについて解説しました。
空き家には多種多様なリスクが存在するうえに、特定空家に指定されると税金面のリスクまで発生します。空き家は所有しているだけでも維持・管理に手間やコストがかかるので、早めに有効活用するのがおすすめです。
現状、空き家の使い道が定まっていない方や、使い道に悩んでいる方はこの機会にアキサポでの空き家活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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