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公開日:2020.06.26 更新日:2024.08.21

老後の資金はいくら必要?65歳までに考えておくべき老後のお金

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「人生100年時代」や「年金の支給開始年齢の引き上げ」といったニュースやキーワードを見て、老後に必要なお金について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。特に、2019年に金融庁が「30年間で2,000万円が必要」と発表したニュースは、老後資金への関心を高めるきっかけとなりました。

会社員であれば60歳〜65歳で退職後、20~30年以上を老後として過ごします。老後は趣味や家族との時間を増やせる「楽しい期間」。その老後を「楽しい期間」として過ごすには、計画的な資金の準備が必要不可欠です。

では、老後の資金としていくら準備すれば良いのでしょうか。この記事では老後資金の必要額や準備方法をご紹介します。

老後の資金はいくら必要?

老後にかかる資金
老後の資金として必要な金額は「老後にかかる支出 − 老後に得られる収入」で計算できます。


生命保険文化センターの調査によると、60歳以上の無職世帯(2人以上)では、一ヵ月に平均約27万円が支出として必要になります。一方、年金を含めた収入は平均約22万円。つまり、約5万円が毎月不足しまうのです。

※老後に得られる収入は年金をベースに考えるため、厚生年金と国民年金では支給額に差が生じます

会社員、専業主婦の二人世帯で月平均支出27万円の場合

夫:大卒で就職後、60歳で退職。平均年収600万円で厚生年金に加入
妻:厚生年金の加入0年で計算


退職後、30年間の収支

収入:公的年金21.2万円(世帯)×12ヶ月×30年間=7,632万円
支出:月28万円×12ヶ月×30年間=10,080万円


収入7,632万円-支出10,080万円=-2,448万円

前述の調査を元に計算すると、平均的な家庭であれば約2,500万円を準備する必要があります。また、加入しているのが国民年金のみの世帯であれば、準備すべき必要額はさらに増えてしまうのです。

自営業の二人世帯で月平均支出28万円の場合

夫婦ともに全期間、国民年金に加入


60歳以降、30年間の収支

収入:公的年金12.8万円(世帯)×12ヶ月×30年間=4,608万円
支出:月28万円×12ヶ月×30年間=10,080万円


収入4,608万円-支出10,080万円=-5,472万円

年金見込(受給)額のシミュレーションは日本年金機構 で試算することができます。必要な金額は家庭ごとに異なるため、現在の支出やシミュレーションした受給額から推測してみるといいでしょう。

また、老後で必要になるお金を計算する際は、介護状態や病気などでさらにお金が必要になることや、年金の受給額の減少、受給開始年度が上がる可能性も頭に入れ、最低限の金額では足りなくなる場合があることにも注意しましょう。趣味などを楽しみたい人は、さらに追加の資金も準備しておかなければなりません。

参考:老後の生活費はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター

老後の資金を用意する手段

資金を貯める手段

では実際に、老後の資金はどのように用意すればよいのでしょうか。

老後の資金を用意する方法は「事前に貯める」「退職後に収入を得る」の二つの手段があります。それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。

 事前に貯める退職後に収入を得る
メリット・計画的に準備しやすい
・退職後に慌てる必要がない
・インフレに強い
・大きな支出があってもカバーしやすい
デメリット・突発的な支出があると計画が崩れやすい
・資金が足りなくなった時、カバーができない
・病気などで収入が途絶えるリスクがある
・退職後も収入を得るために動く必要がある

事前に必要な資金を貯めていれば問題ないと考える人がいるかもしれません。しかし、インフレーションなどでお金の価値が下がると、必要額に足りなくなるリスクも存在するのです。一方、老後は病気や介護状態になる可能性が高いため、収入を安定的に得られるかはわかりません。

どちらにもリスクがあることを理解した上で、二つの手段を組み合わせて準備するといいでしょう。

老後資金の貯め方

老後の資金の貯め方は大きく分けると「貯蓄」と「投資」の2つに分かれます。貯蓄は「お金を貯めること」、投資は「お金を増やすこと」です。それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。

   具体的な内容 メリットデメリット
貯蓄・普通預金
・定期預金
・保険
・iDeCo
などでお金を積み立てる
・リスクが少ない
・計画的に貯められる
・貯まる効率が悪い
投資・株式(NISA、投資信託含む)
・国債
・外貨
・金
などの商品を購入し、配当金による収入や売却による利益を得る
・貯まる効率が良い
・節税効果がある商品もある
・お金を減らすリスクがある
・運用の手間がかかる商品もある

投資の中でも商品により、効率のよさやリスクは大きく異なります。効率のよさを追い求めて商品を選ぶのではなく、効率とリスクを考えながら複数の商品を組み合わせることがポイントです。

老後も収入を得る方法

老後に収入を得る方法は大きく分けると「労働」「金融投資」「不動産収入」の3つに分かれます。それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。

     具体的な内容メリットデメリット
就労再雇用や業務委託などで働いて収入を得る・自分次第で収入額を増やせる
・資産が減るリスクがない
・病気などで働けなくなるリスクがある
・時間や労力がかかる
金融投資株式などの金融商品を購入し、配当金や売却による収入を得る・高いリターンが実現可能・資産が減るリスクがある
・購入や売却といった運用が必要
不動産投資所有している不動産から賃貸料や利用料といった収入を得る・収入額が安定しやすい
・売却することで、大きな収入を得ることもできる
・資産が減るリスクがある
・初期費用が高額

退職後も就労することを前提に資金計画を立てている場合、病気や介護状態になると働くことができなくなってしまいます。就労できない時の資金計画を立てておくことも重要です。

そこで、就労以外の収入方法についても考えてみましょう。

金融投資はハイリスク・ハイリターンの商品。購入額の倍以上の利益を得ることもありますが、購入金額を丸々損してしまうリスクもあります。

一方で不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの商品と言われています。たとえば、マンション投資(マンションの一室を購入して賃貸する)の場合、マンションに人が住んでいれば、安定した家賃収入が見込めます。金融商品ほど値動きの変動が激しくないため、資産価値が下がるリスクも少ないのが特徴です。

不動産投資はほかにも利点があります。それは、売却して一時的に大きなお金を手にすることが可能なことです。老後に入院や手術など突発的な支出があった場合の対応に向いています。

ただし、不動産投資にも家賃収入が途絶えるなどのリスクはあります。また、初期費用が高額でローンを組むこともあるため、誰でも簡単にできるわけではありません。不動産投資を考えている方は、早めに準備をしておいたほうがいいでしょう。

リスクが高い方法は専門家と相談しながら考える

専門家に相談する夫婦

就労や貯蓄は資産が減るリスクはありませんが、金融投資や不動産投資は資産が減るリスクがあります。

そのため、リスクを把握する上でも金融投資や不動産投資は専門家に相談することが重要です。たとえば、不動産投資だけでもさまざまな方法があり、初期費用やリスク、リターンに差があります。経験が豊富な不動産の専門家に相談すれば、目標額に合った提案をしてくれるはずです。

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老後は突発的にライフプランが変わる可能性の高い期間。穏やかな老後生活を送るためには、ゆとりのある準備を早めにしておくことが大切です。少しずつでも老後の資金について考え始めてはいかがでしょうか。