公開日:2022.03.28 更新日:2024.01.08
空き家をコワーキングスペースに!メリット・デメリットや注意点を解説
「働き方改革」に代表されるように、日本ではここ数年、多様な働き方が法人・個人を問わず広く取り入れられています。
そんな中、所属する組織や属性にとらわれることなく、オープンな環境で仕事ができる場所として「コワーキングスペース」の注目が高まっています。
都市部だけでなく、郊外・地方にまで広がりを見せているコワーキングスペースは、空き家活用とも関連性が高いことから、興味をお持ちの方も多いでしょう。
そこで今回は、「空き家×コワーキングスペース」をテーマに、コワーキングスペースの仕組みや料金、設備といった基礎知識に加え、コワーキングスペースに活用するメリット・デメリット、活用時の注意点などを分かりやすく解説します。
目次
コワーキングスペースとは?どんな人が利用するの?
コワーキングスペースは、「Co(共同・共通)」「Working(働く)」という言葉を組み合わせた造語で、意味が表すとおり、「さまざまな人たちが共通のスペースを利用して働く」ことを示しています。
また、所属する会社や組織にとらわれることなく、さまざまなバックボーンを持つ人たちがひとつのスペースを共有する点がコワーキングスペースの大きな特徴です。
ここでは、コワーキングスペースの基礎知識について押さえておきたいポイントを解説します。
コワーキングスペースはどんな人が利用するの?魅力を解説
コワーキングスペースの大きな特徴は、前述のとおり、所属する会社や組織にとらわれることなく、さまざまな人が共に働ける点にあります。
実際にコワーキングスペースで働く人々は、社外での勤務(在宅勤務)が可能な会社員、フリーランス、スタートアップの経営者、ノマドワーカーなど、属性は多種多様です。
こうしたさまざまなバックボーンを持つ人たちがひとつのスペースに集って仕事をすることにより自然な形で交流・コミュニケーションが生まれるのがコワーキングスペースの大きな特徴です。
ビジネスにおいて他分野との交流・コミュニケーションは、個々の刺激となるだけでなく、新たなアイデアやビジネスモデルの創出など、双方にメリットをもたらすきっかけにもなります。
コワーキングスペースが近年注目を集めているのは、多様な働き方に対するニーズが高まっていることに加え、このような「共創」に貢献する側面も大いに影響を及ぼしていると考えられるでしょう。
シェアオフィスやレンタルオフィスとの違い
シェアオフィスやレンタルオフィスも「オフィスフロアの一部を借りるサービス」という点ではコワーキングスペースと同じです。
ではこれらの類似サービスは具体的にどのような点が異なるのでしょうか?
まず、コワーキングスペースは利用者間での交流・コミュニケーションを重視しているため、施設全体を図書館のようなオープンスペースとして提供しているのが一般的です。
一方のシェアオフィスやレンタルオフィスは、共有スペースこそ用意されているものの、利用者ごとに専有スペースを個室形態で提供しているケースが多い点に違いがあります。
とはいえ、これらはあくまで「傾向」であり、厳密に区別されているわけではありません。
「シェアオフィス」の名称であってもオープンスペース型のサービスを提供しているところもありますし、シェアオフィスやコワーキングスペースなど「オフィスをレンタルするサービス」をまとめてレンタルオフィスと呼称する場合もあります。
したがって、名称だけで判断するのではなく、具体的なサービスの中身を確認した上で、ニーズにマッチしたものを選びましょう。
コワーキングスペースの設備
コワーキングスペースで利用できる主な設備を以下にまとめます。
・電源:PCやスマホに欠かせない電源を多数配置 ・ネット環境:Wi-Fi環境を整備 ・プリンターや複合機:印刷やFAXが可能な機器を設置 |
また、コワーキングスペースによっては会議室や休憩スペースなど、個々の作業スペース以外の共有スペースが充実しているところも数多くあります。
コワーキングスペースの料金や利用方法
コワーキングスペースの利用方法および料金については、主に以下2種類の方式が用意されています。
ドロップイン
ドロップインとは、1日単位の利用もしくは時間単位で料金が発生するシステムです。継続的に同じコワーキングスペースを利用しない方やスポットで利用したい方と相性の良いシステムです。
【ドロップインの相場】
・1~2時間:500円 ・1日:1,000円~2,000円 |
※都市部の料金相場
月額制
毎月、定額の利用料金が発生するシステムです。
特定のコワーキングスペースの利用頻度が多い方ほど、ドロップインよりお得に利用することが可能です。
【月額制の相場】
・1カ月:8,000円~1万2,000円 |
※都市部の料金相場
空き家をコワーキングスペースに活用するメリット・デメリット
ここからは、空き家を所有されている方向けに「コワーキングスペースとして活用するメリット」を紹介します。
他の活用方法と比較しながら、コワーキングスペースならではのメリットを紹介しますので、空き家のベストな使い道を検討する際の参考にしてください。
メリット①:コワーキングスペース自体のニーズが高まっている
空き家を活用する場合、希望する活用方法にどの程度のニーズが見込めるかは重要なポイントです。
では気になるコワーキングスペースのニーズについてですが、大都市政策研究機構が行った「日本におけるコワーキングスペース施設数の推移※」から近年のニーズを読み解いてみましょう。
※コワーキングスペースのポータルサイト「コワーキング.com」に登録されている施設情報を集計
全国の施設数 | |
---|---|
2019年6月 | 799 |
2020年8月 | 1,062 |
2021年2月 | 1,379 |
2019年6月時点のコワーキングスペースの施設数から比較すると、1年強で1.33倍、1年半強で1.73倍と、短期間で急激に増加していることが分かります。
近年、これだけ急激に増加しているのは、新型コロナウィルスに伴う働き方の変革が影響を及ぼしていると考えられますが、いずれにせよ、コワーキングスペースのニーズが高まっている現れと取れるでしょう。
空き家をコワーキングスペースに活用する上でも、近年ニーズが高まっていることを表すデータが出ている事実は、「利用者が見込める」という点でプラスの要素だといえます。
メリット②:初期費用を抑えやすい
レンタルオフィスやシェアオフィスなど、類似サービスの中でもコワーキングスペースは空き家活用時に初期費用を抑えやすい特徴を持っています。
「共創」をテーマに、利用者間の交流・コミュニケーションを重視するコワーキングスペースでは、個室や専有スペースを用意する必要がない分、活用時の初期コストを抑えられるのです。
そもそも「スペースをオフィスとして貸し出すサービス」自体が、高額な設備を導入せずに活用を始められるため、なるべく初期費用を抑えて始められる空き家活用方法をご希望の方には特におすすめです。
メリット③:郊外や地方でもニーズが見込める
近年の日本では、企業が多様な働き方を目的としてサテライトオフィスの設置などに取り組んでいるほか、フリーランスの増加が示すように「場所を選ばずに働けるスタイル」が普及している流れがあります。
特にパソコンを使う仕事の場合はアクセスに優れた都市部にこだわる必要がなく、地方でも十分に仕事をこなすことが可能です。
そのため、コワーキングスペースについても都市部だけでなく、郊外・地方でニーズが見込まれる可能性も十分に考えられるでしょう。
事実、これまでは東京都をはじめとした首都圏にコワーキングスペースが集中していましたが、そのシェアは徐々に首都圏以外の地方に広がりを見せています。
場所によっては、「ニーズはあるがコワーキングスペースがまだ設置されていないエリア」となっている可能性もありますので検討してみる価値はあるでしょう。
空き家をコワーキングスペースに活用するデメリットは?
コワーキングスペースが短期間で急激に増加しているデータが示すように、コワーキングスペースというサービスは日本において比較的新しい部類に入ります。
そのため「コワーキングスペースのニーズが見込める場所」「立地に合った最適な提供サービス」などを正確に見極めるのが難しいケースは十分に考えられます。
もちろんすでに複数のコワーキングスペースが設置されているエリアであれば、先行サービスの状況を分析することで参考情報を得られるでしょう。
逆にそれ以外のエリアについては、専門的な知識やノウハウなしで適切な調査・分析を進めるのは難しいのが現実です。
いくらニーズが高まっているとはいえ、ニーズが見込めない、もしくはニーズにフィットしていないサービスを提供してしまっては、失敗の可能性は高くなります。
そのため、空き家をコワーキングスペースとして活用したいとお考えの方は、空き家活用に詳しいプロのサポートを受けることをおすすめします。
空き家をコワーキングスペースに活用する際の注意点
空き家をコワーキングスペースに活用する際に押さえておくべき注意点を解説します。
まずは市場調査から
空き家をコワーキングスペースとして活用する際、最初に手を付けるのが市場調査です。
・立地を踏まえて、どの程度のニーズが存在しているか ・想定されるターゲット ・競合の有無、競合の提供サービスや料金 |
特に一番最初の「立地を踏まえたニーズ」については、所有する空き家がコワーキングスペースに適しているか否かを見極める上で不可欠な調査です。
コワーキングスペースは年々郊外や地方に広がっているとはいえ、どんな場所でも一定のニーズを見込めるわけではありません。
市場調査によりニーズがあまり見込めないと考えられる場合は他の活用法に切り替えることも大切です。
いずれにせよ、市場調査を実施する際には、プロの手を借りながら専門的な知識やノウハウに基づいて進めることをおすすめします。
コンセプトを大切にする
既存のコワーキングスペースでは、独自のコンセプトを打ち出すことで競合との差別化や継続的な利用を促進しています。
・おしゃれな内装 ・24時間営業 ・利用者間の交流・コミュニケーションを促すイベントの開催 ・会議室の設置 ・防音室の設置 |
これらはあくまで一例ですが、市場調査から判明したニーズにマッチするコンセプトを設けることで、独自の付加価値を創出できます。
セキュリティにも気を配る
コワーキングスペースは、「オープンな環境」が大きな魅力ではありますが、見知らぬ人同士がひとつのスペースを共有する以上はセキュリティにも気を配ることが大切です。
・防犯カメラの設置 ・鍵付きロッカーの設置 ・本人確認の徹底 ・会員専用ICカードによる入退出記録の管理 |
などなど、安心して利用できるための環境作りはもちろん、万が一何らかのトラブルが発生した場合でも適切に対処しやすいセキュリティを整えておくと良いでしょう。
集客を工夫する
どれほど魅力的なコワーキングスペースでも、存在が知られていなければ集客は見込めません。
「コワーキングスペースのポータルサイトに掲載する」「HPを作成し、SEO(上位表示対策)に力を入れる」など、特にオープン当初はサービスの認知・周知に注力することが大切です。
利用規約を作成しておく
利用規約は法律上、作成が義務付けられているわけではありません。
しかしながら、利用時にトラブルが起こり訴訟に発展した際、利用規約は「運営者の対応が正しかった根拠を示す」役割を果たします。
コワーキングスペースは、不特定多数の利用者がひとつのスペースを共有するため、あらゆるトラブルが発生する可能性を孕んでいます。
もちろんセキュリティ強化など、あらかじめトラブル防止策を講じることは可能ですが、それでも何らかのトラブルが起こる可能性をゼロにはできません。
そのため、あらゆるリスクに対応できるよう、弁護士などの専門家からサポートを受けながら、サービス提供前に利用規約を作っておくことをおすすめします。
悩んだ時はまず相談!空き家活用で失敗しないために
所有する空き家にとってベストな活用方法やプランニングには専門的な知識やノウハウが必要なため、活用を検討しているのであれば、まず専門家に相談することをおすすめします。
私たちアキサポは、空き家に特化したサービスやサポートを提供しており、これまで数多くの空き家活用をお手伝いしてきました。
【アキサポの仕組み】
・物件の周辺環境や立地条件など現地調査 ・調査結果に基づき、リノベーション・活用プランを提案 ・全額費用負担でリノベーション工事を実施 |
こうした独自の仕組みにより、空き家所有者の方はもちろん、ブランドイメージ調査でも高い評価をいただいております。
空き家活用をお考えの方は、ご自身の所有する空き家や活用の可能性をまず知ることが大切ですから、ぜひお気軽にご相談ください。
空き家×コワーキングスペースに関するまとめ
コワーキングスペースはここ数年急激に増加しており、全国的にニーズが高まっている注目のサービスです。
お伝えしたとおり、空き家活用とも相性が良いサービスですし、郊外・地方でもニーズが見込める可能性は十分にあるでしょう。
とはいえ、事前の市場調査やプランニングには専門的な知識やノウハウが求められますので、まずは空き家活用の専門家であるアキサポまでお気軽にご相談ください。