公開日:2022.02.02 更新日:2023.12.19
空き家をトランクルーム(倉庫)に活用するには?メリットや注意点を解説
荷物を預かる倉庫を運営する「トランクルームサービス」。郊外地の土地活用に多く見られますが、家の収納スペースが少なくなりがちな都市部でも需要がある、注目の活用方法です。
トランクルームは設置の簡単さや経営を始める際の投資額の少なさ、需要の高さなどから空き家の活用方法としてもおすすめ。空き家をそのままトランクルームに活用する場合なら、初期投資はさらに抑えられます。
しかし、どこでもトランクルームを設置できるわけではない点は注意。この記事では、空き家をトランクルームに活用する際のメリットと注意点を解説します。
トランクルームとは?
トランクルームとは、物を収納するスペースを貸し出すサービスのことです。
主な種類に、屋外にコンテナを設置して貸し出す「屋外コンテナ型」と、建物の中に収納スペースを作って貸し出す「屋内型」があり、ほかにも宅配で荷物のやり取りを行う「宅配型」というタイプも存在します。
契約形式は月額制がメジャーで、1人につきトランクルーム1室を貸し出して月々の賃料を得ます。初期投資額が共同住宅経営よりも少ない傾向にあるため、実質的な収益を得るまでの期間も短くなりやすい傾向にあります。また、需要は収納スペースを必要とする都市部や住宅街などで高い傾向にあります。
空き家の活用先としておすすめなのは、屋外コンテナ型と屋内型です。ここでは、屋外コンテナ型と屋内型について詳しく見ていきましょう。
屋外コンテナ型|コンテナを設置して貸し出すタイプ
屋外コンテナ型は、空いている土地にコンテナを設置して貸し出すタイプです。
隣に車を付けて運び入れができたり、大きな荷物が入れられたりといった特徴があり、中にはバイクをそのまま入れられるものもあります。
施工は通常の倉庫建築よりも簡単で、コンテナの設置スペースさえあれば、トランクルーム運営会社からコンテナを買う、または借りて設置するだけで下準備が整います。
設置期間は施工が2~3週間、各種申請手続きを含めても2~3カ月とかなり短め。設置するコンテナが最初から組み上がっていたり、電気・ガス・水道を通す必要が無かったりと、工事内容が少ないため短期間で完了します。
運営方法は、トランクルーム運営会社に土地だけ貸し出したり、フランチャイズ契約を結んだり、土地オーナーが設置したトランクルームを運営会社が一括借り上げをするリーズバック方式を採用したりと、運営会社によって異なります。
屋内型|建物内にトランクルームを整備するタイプ
屋内型は、建物内にトランクルームを整備して貸し出すスタイルです。建物自体を工事するわけではなく、設置型のボックスやパーティションのようなパネルなどでトランクルームを作っていくため、屋内に設置場所があれば、ほとんどの場合 建築工事は不要です。
1ブースごとのスペースは屋外型より狭い傾向にありますが、空調設備を整えるのが基本で、衣類や鞄といった、普段室内で保管している物の保管によく使われます。
また、ロッカータイプの小さなスペースを貸し出す形式もあり、主に小物や本、CDなどを収納する使い方ができます。
設置費は、コンテナの設置が不要なため屋外型に比べてトランクルームの設備自体の設置費は安い傾向にあります。ただ、 既存建築物の構造上、すべての建築物に設置できるわけではない点には注意が必要です。
運営方法は、トランクルーム会社に建物を貸し出したり、フランチャイズ契約を結んだり、業務委託を結んだりとこちらも会社によって異なります。
空き家をトランクルームとして活用するメリット
空き家をトランクルームとして活用する場合、空き家を壊すか、そのまま活用するかでメリットも変わってきます。
空き家を取り壊してトランクルームとするケースは、主に建物が一般的な一軒家である場合や老朽化が著しい場合です。ただ、そのエリアのニーズや工夫次第では空き家をそのままに、空きスペースにトランクルームを設置できるケースもあります。
また、空き家をそのままトランクルームに活用できるのは、主に空きビルや空き店舗です。空き家でも活用できるケースはありますが、空き家の規模や構造が適している場合に限ります。ただ、トランクルームへの活用が難しくても、空き家をそのまま物置として貸し出すことは可能です。
空き家を壊してトランクルームに活用するメリット
空き家を壊してから土地を別の用途に活用する場合、多くの場合で大がかりな建築工事が必要になります。しかし、トランクルームに活用する場合は、コンテナでの活用を想定すれば設置するコンテナが既に組み上がっているため、ほかの用途に比べて工期が短い・初期費用が安いというメリットがあります。
また、設置が容易ということは、撤去が容易ということでもあります。撤去は基礎を取り壊してからクレーンで釣り上げる形で、電気・ガス・水道の接続も無いため、配管関係の工事も発生しません。そのため、土地を別の用途に転用したくなった場合も、ほかの用途に比べて容易に切り替えができると言えます。
・工期が短い ・ほかの用途に比べて初期投資が安い ・別の用途に転用しやすい |
空き家をそのままトランクルームに活用するメリット
空き家をそのまま活用する場合、もっとも大きなメリットは既存の建物を利用できることです。
空き家活用で特に費用がかかるのがリフォームや修繕代であり、空き家をそのまま活用できれば、費用の大部分を節約でき、初期費用を安く抑えられます。
また、人が住むわけではないため、多少建物が古くても需要はあります。特に家の面積が少ない傾向にある都市部では需要が高いため、古くなった貸しビルや貸店舗などを活用するのもいいかもしれません。
同じく、人が住まないという理由で、管理が比較的容易である点も見逃せないポイントです。
・建物をそのまま利用できる ・初期費用が安い ・築年数が古い建物でも活用できる ・管理が容易 |
空き家をトランクルームとして活用する注意点
空き家をトランクルームとして活用する場合、一番気を付けるべきなのが「法律上の取り扱い」です。
特にコンテナを設置して活用する場合は注意が必要。コンテナを倉庫として使う場合、建築物として取り扱うため建築確認が必要ですが、これを理解せずに設置し、都市計画法及び建築基準法に違反してしまうケースがあるのです。
また、意外と見落としがちなのが土地にかかる固定資産税の減税効果が薄いこと。空き家をトランクルームにする際の注意点をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
コンテナは建築物に該当する
屋外型トランクルームに使用されるコンテナは、荷運びに使われる点や設置の容易さなどから建築物ではないと思われがちです。しかし、コンテナも倉庫として使うとなると建築物に該当します。
そもそも、建築物の定義というのは「柱(またはそれに変わる壁)及び屋根があること」です。コンテナも壁と屋根があるため、建築物に該当します。
建築物に該当するとなると、設置する際には建築基準法に基づく「建築確認」が必要になります。これを忘れると後からコンテナの安全性を測る「構造計算」が必要になる場合があり、構造計算に必要な調査を行う手間や業者に委託する費用などが追加で発生するため注意が必要です。
建築基準法上・都市計画法上の制限がある
トランクルームの設置には、主に建物の安全性に係る「建築基準法」と、立地の可否に係る用途地域を定める「都市計画法」による制限がかかります。
特に「都市計画法」の制限は要注意。いかに「建築基準法」の基準をクリアしても、「都市計画法」で設置できない用途地域に該当していると、そもそも設置自体が不可能になってしまいます。
もし設置後に法令違反が発覚した場合、最悪の場合営業ができなくなってしまう可能性があります。また、すでに利用者がいる場合は契約をめぐるトラブルになる可能性もあるため、制限は設置前に必ず確認しましょう。
用途地域は、建築基準法に定める建築物の用途別に立地の可否を定めています。トランクルームは「倉庫業を営まない倉庫」に該当し、用途地域ごとの立地可否は下記のとおりとなります。
トランクルームに関する用途地域の設置制限
第一種低層 住居専用地域:× 第二種低層 住居専用地域:× 第一種中高層 住居専用地域:× 第二種中高層 住居専用地域 △ 第一種 住居地域:〇 第二種 住居地域:〇 準住居地域:〇 近隣商業地域 :〇 商業地域:〇 準工業地域:〇 工業地域:〇 工業専用地域 :〇 市街化調整区域:× |
そのため、トランクルームへの活用を検討する場合は、最初に「都市計画法」における用途地域を確認するようにしましょう。
倉庫業法に該当するトランクルームか否か
トランクルームはその業態によって、倉庫業法に基づく場合と賃貸借契約に基づく場合に分けられます。
倉庫業法に基づく場合とは、倉庫を介して荷物の預かりを業とする業態を言います。この場合、荷物の出し入れを行うのはサービス提供者で、利用者が直接荷物を出し入れすることはできません。一方で賃貸借契約に基づく場合は、トランクルームというスペースを貸し出す業態となり、利用者本人が荷物の出し入れを行うことになります。
空き家を活用して行うトランクルームは、多くの場合が後者になると思いますが、もし宅配型トランクルームのように前者の業態を取る場合は、別途許可が必要になるため注意が必要です。
固定資産税の節税効果は薄い
意外と見落としがちな点が固定資産税の節税効果です。
土地の固定資産税は「住宅用地特例」という住宅が立地していると減額される制度がありますが、トランクルームの場合事業用の建築物扱いとなり、減額の対象にはなりません。
これは、空き家を活用した場合も同じです。建物が住宅でも、判断材料となるのは利用用途であるため、貸倉庫という事業用建築物として扱われます。
そのため、トランクルームとして活用する場合は、固定資産税をペイできる利益を出す必要があることを覚えておきましょう。
トランクルームは条件に最適な業態を選ぼう
トランクルームには主に「屋外コンテナ型」と「屋内型」があると前述しましたが、どちらが最適かは活用する空き家の状況によって異なります。
空き家の状態や構造、敷地の広さなどを勘案して、より効率よく利益を得られる方を選ぶ必要があります。トランクルームは事業用の建築物に該当するため、固定資産税の減額対象にもなりません。そのため、しっかりと利益を出すためにも利益率が重視される業態と言えるでしょう。
そんなときこそ、弊社の空き家活用サービス「アキサポ」にご相談ください。「アキサポ」はこれまで数多くの空き家活用を実現してきた、いわば空き家のプロです。上記写真の屋内型トランクルームを手掛けた例もあり、具体的な提案が可能です。
この施工例では、10年間テナントがつかず放置されていた物件を、大手貸倉庫業者と協力してトランクルームにリノベーションしています。「地域住民向け」というポジショニングで経営することで、地域の方に便利に使っていただける施設へと生まれ変わりました。
また、トランクルームが難しい場合でも、別のプランを提案することも可能です。まずは一度、お気軽にご相談ください。