公開日:2022.02.01 更新日:2024.08.21
空き家が駐車場に大変身。活用するためのポイント、注意点について解説
相続した空き家に住まないのであれば、売却をしたり賃貸に出したり、維持管理をしながら所有し続けたりなど、さまざまな選択肢があります。
選択肢のひとつに、空き家を解体して更地にし、駐車場として活用する方法があります。
そこで今回は、空き家を駐車場として活用するメリットや魅力、注意点など活用する際に知っておきたいポイントについて解説します。
1.空き家を駐車場として活用するメリットや魅力
空き家を解体して駐車場として活用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
主に以下の3つになります。
・初期費用が少なく済む
・維持管理費が少ない
・売却や転用がしやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.初期費用が少なく済む
1つ目のメリットとして挙げられるのは、初期費用が比較的安く済むことです。
空き家の活用方法には駐車場にする以外にも、
・既存の建物にリノベーション工事を施し賃貸に出す
・建物を建て替え賃貸に出す
・太陽光発電の設備を設置する
・トランクルームにする
・コインランドリーにする
など、さまざまな方法があります。
上記のいずれも新しく建設をしなければならないため、多額の費用がかかります。
たとえば、太陽光発電では、地面に太陽光パネルを設置するタイプの「野立て太陽光発電」が土地活用の手段のひとつとして人気を集めています。発電量の目安としては10kw〜50kwが一般的です。
空き家を解体したうえで、設置工事を行います。工事費は設置枚数や発電設備によって大きく変動しますが、太陽光パネル代は10kw~の場合、1枚10万円〜30万円程度かかります。それに加えて工事費が数百万〜数千万円かかってきます。
駐車場にするのであれば建物の解体費の他に土地の整形費が掛かってくる可能性もありますが、他の土地活用に比べて初期費用を抑えることが可能です。
1-2.維持管理費が少ない
建物を建設して貸し出す場合には、設備の修理費用、入居者の入れ替え時の修繕費用、火災保険料などさまざまな維持費がかかります。もちろんその分、家賃収入を得られるという利点はあります。
その一方で、駐車場は建物がない分維持管理費は少なく済みます。
固定資産税などの税金以外の負担は、駐車場の土地に生えてくる雑草の駆除と清掃くらいです。それも、アスファルトにしてしまえば雑草も生えてこないため、清掃だけで済みます。費用に加えて管理の手間もそれほどかかりませんが、定期的な巡回は必要でしょう。
1-3.売却や転用がしやすい
駐車場にすると、いざ「売却したい」「違う活用に転用したい」と考えたときに変更が容易という利点があります。
既存の建物があると、解体や用途を変えるためにリフォームやリノベーション工事が必要になります。
解体やリノベーション工事を実施する為には費用に加えて、一定の期間も必要となります。しかし駐車場になっていれば最小限のコストや時間で、売却や転用を容易に行うことができます。
2.空き家を駐車場として活用する注意点
空き家を駐車場として活用する際には注意するべき点もあります。
・土地の固定資産税負担は増える
・ニーズを考える必要がある
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
2-1.土地の固定資産税負担は増える
空き家を解体し更地にすることで、土地の固定資産税と、都市計画区域のうち市街化区域内に住所があれば、都市計画税の負担も大きく増えます。
日本では国民が安心して住むことができるように、住宅が建つ土地の固定資産税に軽減措置が適用されています。
固定資産税は小規模住宅用地(200㎡まで)であれば6分の1、一般住宅用地(200㎡を超える部分)であれば3分の1に軽減されています。
都市計画税は、小規模用住宅用地が3分の1、一般住宅用地が3分の2に軽減されています。
駐車場はこれらの軽減措置対象外のため空き家を解体して更地にすると税金の支払い負担が増えることを覚えておかなくてはなりません。
更地にしたまま所有し続けるとなると、今まで支払っていた税額よりもっと大きい負担が家計を圧迫することになるので、何かしら売却するなり活用するなりの手段をとりたいところです。
2-2.ニーズを考える必要がある
そもそも、その土地を駐車場にしたとしても車を停める人がいなければ意味がありません。
つまり、需要があるのかどうかを考え、近隣の既存駐車場の数や場所、空き状況を調べる必要があります。
また、周囲に何も建物や商業施設、駅などがなかったり、車を停めて移動手段を替える必要がなさそうだったりする場合には注意が必要です。
まれに周辺には何もないけど、ドームやスタジアムなどがあって、そこに車を停めたらドームやスタジアムなどまで歩いて行ける…などということもあるため、周辺情報を集めてニーズの有無を把握したほうがよいでしょう。
3.空き家を駐車場にする際に知っておきたいポイント
空き家を駐車場にするときは、どのように駐車場を運用するか検討する必要があります。ここでは、空き家を駐車場にする際に知っておきたいポイントを解説します。
3-1.駐車場には月極駐車場、コインパーキングの2種類がある
駐車場には、月極(つきぎめ)駐車場とコインパーキングの2種類があります。空き家を駐車場にするときは、どちらにするのか事前に決めておくことが大切です。
月極は、1ヵ月単位で顧客に貸し出すタイプの駐車場です。長期契約になることも多く、借り手が見つかれば安定した収入を得られます。一方のコインパーキングは、時間貸しの駐車場です。多くの利用者があればそれだけ高い収益を期待できます。ただし、初期費用はコインパーキングのほうが高額です。
月極駐車場、コインパーキングそれぞれの需要がある場所は以下のとおりです。
■月極駐車場、コインパーキングの需要がある場所
月極駐車場の需要がある場所 | ・駐車場がないアパートやマンションなどが多い住宅地 ・1人1台車がなければ生活が不便な場所にある住宅地 |
コインパーキングの需要がある場所 | ・駅や商業建物の近くにある場所 ・オフィス街 |
人流が多い場所では、時間貸しの料金も高額に設定しやすくなります。初期投資を回収できる収益性を見込める立地であれば、コインパーキングでの運用を検討してみてもいいでしょう。
反対に、それほどコインパーキングの需要が高くない場所では、初期費用が抑えられて安定収入を見込める月極駐車場のほうが適しているかもしれません。
3-2.駐車場の管理方式は3つある
駐車場は比較的メンテナンスが容易ですが、清掃や集金、問い合わせ対応といった管理が必要となります。これらの管理をどのように行うのかを、事前に考えておきましょう。駐車場の管理方式は、主に以下の3つがあります。
・自主管理方式
自主管理方式は、駐車場のオーナーが自分ですべての管理を行う方法です。誰かに管理をお願いする経費がかからないというメリットがあります。
一方で、利用者募集やトラブル対応などもすべて自分で行わなければならないため、オーナーの負担は大きくなります。看板やコインパーキングの機器類なども、自分で設置しなければいけません。
・管理委託方式
管理委託方式は、駐車場運営を請け負っている管理会社や不動産会社などに駐車場の管理を任せる方法です。手数料はかかりますが、管理を専門業者に一任できるため、駐車場経営にかかる労力を大幅に削減できます。
委託できる具体的な業務は、主に以下のとおりです。
<管理委託方式で委託できる主な業務>
・契約者募集
・契約者の審査や契約締結
・解約手続き
・集金
・看板設置
・チラシ配布
・清掃
・見回り
・クレーム対応
管理手数料の目安は、委託範囲などに応じて賃料の5~10%程度です。委託範囲が広くなるほど手数料も高額になります。また、新規契約時には別途仲介手数料が発生します。
・一括借り上げ方式
一括借り上げ方式は、駐車場運営を行う不動産会社などに土地を貸し出す方法です。この場合、駐車場の借り手は駐車場を利用する方ではなく、不動産会社になります。
一括借り上げ方式の場合、一定の賃料が入るため、賃料収入の安定性を重視するオーナーにとってはメリットとなります。一方で、駐車場の利用者がどんなに多くなっても、オーナーが受け取れる賃料に変わりはありません。
3-3.青空駐車場の場合、アスファルト舗装をすると相続税の小規模宅地等の特例の対象となる
車を覆う屋根がなく地上のスペースにそのまま車を駐車する、いわゆる「青空駐車場」は、一般的な住宅に比べて相続税の評価額が高くなりがちです。これは、宅地などに適用される「小規模宅地等の特例」が適用されないためです。
小規模宅地等の特例の対象になると、200平方メートルまでの土地の評価額が50%減額され、結果として相続税の軽減につながります。
小規模宅地等の特例は、住宅などの構造物が建ち、居住用や事業用として利用されている土地が対象となっているため、地面が更地である状態の青空駐車場は対象外です。
しかし、アスファルトやコンクリートで舗装を行った場合は、アスファルトなどが構造物とみなされるため小規模宅地等の特例を利用できます。砂利敷の場合は、特例の対象にならない可能性が高いので注意しましょう。
ただし、アスファルトなどで舗装をした青空駐車場は、更地の青空駐車場に比べて、固定資産税が高くなる可能性があります。これは、アスファルトなどが、固定資産税の対象となる償却資産にあたるためです。
償却資産にかかる税率は、償却資産額の1.4%ですが、償却資産の評価額が150万円未満であれば免税となります。そのため、アスファルト舗装にかかる工事費用が150万円未満であれば、その償却資産に対して固定資産税はかかりません。
青空駐車場を更地のままで運用するか、アスファルトなどで舗装するかは、税制面のメリットとデメリットを踏まえて検討しましょう。
4.まとめ
空き家の解体後の活用方法のひとつとして、駐車場にするのは収益を見込める点でもおすすめです。
ただ、駐車場の種類や立地、ニーズの有無など、しっかりと検討しなければなかなか収入に繋げられず、高い税金を支払わなければならなくなってしまいます。
建物を解体してしまうと元には戻らなくなってしまいますので、そのことも含めて検討してみてください。
駐車場以外の活用方法でも、解体せずに建物をリノベーションし、借りたい人へ向けて貸し出す方法もあります。
アキサポは、空き家をコストゼロ(※)でリノベーションして有効活用できるサービスです。アキサポが空き家を借り受けて、所有者様に毎月賃料を支払うサービスで、所有者様が入居者を探す必要はありません。過去の事例では、駐車場やバイクガレージにした物件もあります。
空き家の活用でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。