公開日:2021.11.10 更新日:2024.01.08
大田区(東京都)の空き家事情|街に隠れた空き家の探し方
今回は東京都大田区の空き家事情を紹介。大田区の居住エリアの特徴や空き家を探す方法などを解説していきます。
皆さんは大田区にどんなイメージを持っているでしょうか?
田園調布、羽田空港、蒲田、工業地帯など、じつにいろいろなスポットを思い浮かべますよね。そのイメージのとおり大田区は多くの顔を持った多彩な街。居住エリアも数多くありますが、エリアごとに周辺環境はまったく異なります。
また、大田区は都内トップクラスの空き家数がある場所でもあります。それだけに空き家に出会いやすい街であり、同時に空き家対策に力を入れている街でもあります。
この記事では、さまざまな空き家と出会える街、大田区について知識を深めていきましょう。
目次
大田区の特徴は?田園調布から羽田空港まである多彩な街
大田区は東京の南西端に位置し、周囲を目黒区・品川区・江東区・世田谷区・神奈川県川崎市に囲まれています。区内には臨海部に広がる京浜工業地帯や羽田空港、内陸部にある多数の住宅街、さらに蒲田駅周辺にある大規模な商業地域など、1つの区で収めるには多彩すぎるほどのスポットを有しています。
そのため、区のイメージを一言で表すのはかなり困難です。大田区の中にいろいろな街があるというよりは、いろいろな街が合わさって大田区ができているといった感覚かもしれません。
住宅街が広がる居住エリアも複数あり、特徴的なエリアに大森・池上・田園調布・蒲田があります。まずは、大田区の特徴をエリア別に見ていきましょう。
大田区にはどんなエリアがある?
ここでは、大田区を9つのエリアに分けて特徴を解説していきます。
大田区内には蒲田駅周辺の蒲田エリアや羽田空港周辺の羽田エリアなど、主要施設や鉄道路線を中心とした小さなエリアが複数存在します。大田区で生活する場合、エリアの中心施設が生活の中心地になると思いますので、エリアの雰囲気はしっかり把握しておきましょう。
特徴的な居住エリア|大森・池上・田園調布・蒲田
まず居住エリアの中でも特徴的な4エリアを紹介します。
ここで紹介する4エリアは住みやすいだけでなく独特の個性がある街ばかり。どこも「住む街には愛着を持ちたい」という方におすすめです。
大森エリア
大森駅を中心としたエリア。大森駅の西側には住宅街と商店街が、東側にはオフィス街が広がっています。住宅街をさらに西へ行くと馬込駅があり、かつて多くの文士たちが集まった住宅街「馬込文士村」と呼ばれる地域にアクセスできます。
池上エリア
日蓮宗の総本山・池上本門寺を有するエリアです。池上本願寺の門前通りには寺院や和菓子屋などが点在し、昔から続く街の歴史を感じさせます。住宅街は門前通りを中心に両側に広がって形成されており、総じて落ち着いた雰囲気。また、10月には池上本門寺で大規模なお会式が行われ、多くの参拝客でにぎわいます。
田園調布エリア
全国に名をとどろかせる高級住宅街。レトロなデザインの田園調布駅を中心に閑静な住宅街が広がっています。街のデザインは、かの渋沢栄一らによって手掛けられたもので、イギリスでスタートした「田園都市論」をベースに設計されています。街中に緑が多く配置されているのも特徴的です。
蒲田エリア
大田区を代表するターミナル駅・蒲田駅を中心としたエリアです。駅前には大田区役所があり、周辺には商店とオフィスビルが入り組んだ大規模な商業エリアが広がっています。駅周辺の商業エリアが広く、住宅街は駅から5~10分ほど歩いた場所に広がっています。
その他のエリア
大田区にはその他にも矢口や洗足池、六郷などの居住エリアがあり、こちらも住みやすく落ち着いた街並みが広がっています。また、臨海部の羽田エリア・湾岸エリアは工業地帯がメインですが、少し離れると住宅街が広がっている場所もあります。
- 矢口エリア
矢口渡駅や鵜の木駅などを中心とした、多摩川沿いに広がるエリア。住宅街がメインの地域で、鵜の木駅の周辺には昭和レトロを感じさせる商店街が広がっています。 - 洗足池エリア
洗足池駅からほど近い公園・洗足池公園を中心としたエリアです。勝海舟ゆかりの地としても有名で、公園には勝海舟夫妻の墓もあります。住宅街メインのエリアで、大きな商業エリアも無く、落ち着いた住環境が広がっています。 - 六郷エリア
大田区の南西端にある六郷土手駅周辺のエリアです。区内でも住宅が特に多い地域で、一戸建と集合住宅が混在した住宅街がエリアいっぱいに広がっています。また、住宅が多い分、小学校や中学校の数が多いのも特徴です。雑色駅の周辺にある区内最大の商店街・雑色商店街はぜひ訪れてもらいたい場所です。 - 羽田エリア
羽田空港を中心としたエリアです。羽田空港があるのは東京湾に浮かぶ人工島。そこから西側の海老取川をまたぐと、大小の工場が混在した工業地域と、路地の入り組んだ昔ながらの住宅街が広がっています。 - 湾岸エリア
平和島や京浜島など多数の人工島からなる工業エリアです。エリアの大半は工業地域ですが平和島駅の周辺には住宅もあり、工業地帯との間には広々とした平和の森公園が広がっています。
大田区の空き家事情|23区トップクラスの空き家数
大田区にはさまざまなエリアとさまざまな住宅街がありますが、それだけに空き家数もかなりの数があります。大田区にある空き家の数は平成30年時点でじつに48,450戸。そのうち市場に流通していない「その他空き家」の件数は4,130戸で、空き家の8.5%を占めています(平成 30 年総務省「住宅・土地統計調査」より)。
この数字は全国でもトップクラスですが、じつは平成25年時点ではさらに多く、空き家数6万戸以上、その他空き家約9,100戸という23区ダントツトップの空き家数を有していました(大田区空家等対策計画より)。
なぜたった5年でその他空き家が大幅に減少したのか。その理由は明言できませんが、その内の一つに行政の積極的な空き家対策があります。大田区は空き家が多い分、空き家対策も活発なのです。
ここでは、大田区における空き家事情と行政の空き家対策について見ていきましょう。
大田区は住宅が多く空き家も多い
大田区に空き家が多い原因に、そもそも住宅が多いという点があります。大田区の住宅総数は平成30年(2018年)時点で約42.8万戸。区内の空き家率は11.3%と全国平均よりも低いですが、住宅総数自体が多いため、必然的に空き家数も多くなってしまいます。
とはいえ、大田区は都心部や川崎へのアクセスが良いことから住宅需要の高いエリアでもあるため、大半の空き家は市場に流通していきます。しかし、これだけ件数があると老朽化したり放置されたりといった空き家も当然出てきます。ただ、これは全国的に言えることであり、大田区だけの問題ではありません。
空き家が多いと聞くと悪いイメージを持つかもしれませんが、大田区の場合はあくまで住宅総数に比例してして空き家数も多くなっているだけなのです。
行政の空き家対策が進んでいる街
大田区は空き家数が多いだけでなく、空き家対策が積極的な街でもあります。行政が空き家の総合窓口を用意しているのはもちろん独自の空き家対策も実施しており、行政自ら積極的な空き家活用に乗り出しています。
空き家に対する姿勢が分かりやすいのが大田区の独自条例です。全国的に空き家問題が本格化してきた2015年、特定空き家の指定が可能となった「空き家対策特別措置法」が施行されましたが、大田区はすでに独自の条例を制定して空き家対策を始めていました。ちなみに、空き家に対する行政代執行を都内で最初に実施したのも大田区です。
また制度面では、空き家バンクよりも一歩踏み込んだ制度として、区がマッチング成立までサポートする制度を実施しています。あくまで公共サービスということで使用目的を公益的活用に限っていますが、すでにこの制度を利用して多数の地域コミュニティの場が生まれています。
大田区の空き家を探す方法|隠れた空き家を見つけるには
いわゆる「空き家」とは、一般的には物流に乗らない物件である「その他の空き家」を指す言葉です。その他空き家は放置されていたり、所有者の連絡先が分からなかったりすることもあるため、一般的な物件探しの方法では空き家を見つけることは困難です。
そんなときは、空き家探しのネットワークを持っているところに頼りましょう。ここでは、大田区の隠れた空き家を探す方法を4つ紹介します。
アキサポ|空き家との出会いを創るマッチングサービス
もっともおすすめしたいのが弊社・ジェクトワンのサービス「アキサポ」です。
「アキサポ」とは、空き家を貸したい方と空き家を借りたい方をつなげる空き家マッチングサービス。運営会社であるジェクトワンが、空き家の最適なマッチングをサポートします。
「アキサポ」をおすすめする最たる理由は、空き家に対する高い専門性と強力な情報ネットワークとを兼ね備えていることです。
「アキサポ」がサービスを開始したのは2016年。社会問題の解決をサービスの基礎に置き、多くの空き家オーナー様・利用希望者様に対して、お互いがWin-Winであり、同時に地域を豊かにする提案を続けてきました。
さらに、ジェクトワンは街なか再生やリノベーション、不動産コンサルなど幅広いサービスを展開してきた実績があり、都内に強力な不動産ネットワークを持っています。
そのおかげで、2021年6月には、空き家活用サービス分野においてのインターネット調査で「資産価値向上が期待できる空き家活用サービス No.1」「空き家活用サービス支持率 No.1」「不動産オーナーがお勧めする空き家活用サービス No.1」の3冠を獲得。名実ともに空き家の専門家を名乗れるようになりました。
多くの空き家情報が集まる「アキサポ」だからこそ、ほかには無い物件との出会いを提供することが可能なのです。
その他の空き家活用サービス
空き家活用サービスは「アキサポ」のほかにも大小さまざまなものがあります。
例えば、全国にネットワークを持つ「カリアゲ」や、NPO法人空家・空地管理センターが運営する「AKARI」、2021年7月にスタートしたばかりの「さかやま不動産」などです。
空き家活用サービスは、サービスごとに得意分野やサービス内容が異なります。「カリアゲ」が取り扱うのは築年数30年以上の物件で、借上げ期間は最大6年まで。AKARIは首都圏の一戸建てを中心に取り扱っており、借上げ期間は5~10年です。
つまり、空き家活用サービスから空き家を探す際には、自分が借りたい空き家を取り扱ってそうな空き家活用サービスを選ぶことが大切。空き家活用サービスを併用して最適な空き家を見つけましょう。
地域の不動産屋|ニッチな空き家情報を探そう
大田区の不動産屋で空き家の情報を探す場合は、あえて主要駅から外れた場所で探してみましょう。具体的には、実際に住みたいエリアにある昔からの不動産屋を訪ねてみるのがおすすめです。
主要駅付近にある大手不動産屋には多くの物件情報が集まっていますが、それはあくまで市場に出回っている物件がほとんどです。そして、対応エリアが広い分、ニッチな空き家情報まで取り扱っていない可能性もあります。
それに対して、地域の不動産屋は物件数だと大手には負けるものの、地域の濃い不動産情報を持っている場合があります。地域住民と交流があるケースも多いため、通常より一歩踏み込んだ空き家情報が手に入る可能性があるのです。
大田区で受けられる行政の空き家支援制度
大田区内で受けられる空き家マッチングに関する行政サービスは2つ。
一つは、家を貸したい人向けのサービス「マイホーム借り上げ制度」。もう一つは、公益的活用目的に限って区がマッチングを行う「空き家の公益的活用」です。
マイホーム借り上げ制度
マイホーム借り上げ制度は、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)が行っているマイホーム転貸サービスです。対象となるのは50歳以上の方で、自分が住む住宅をJTIが借上げ、住みたい方に転貸します。
借りる側には、一般の相場より安く借りられたり、敷金・礼金が不要だったりといったメリットがあります。
空き家の公益的活用
空き家の公益的活用は、大田区が直接実施する空き家マッチングサービスです。空き家の利用条件が、福祉や子育て支援、地域交流などの公益目的の場合に限ってサービスを受けられ、対象物件は一戸建てからビル、マンションの一室などさまざまです。
「公益目的」の内容は一概に線引きされておらず、実際は窓口で具体的に相談をして可否を判断します。地域に根差した施設を作りたい場合はぜひ一度相談してみてください。
空き家に関する補助金
大田区には住宅リフォームに関する補助金が工事内容別に6種類用意されています。
種別 | 工事内容 | 助成率 | 上限額 |
A | バリアフリー化、環境への配慮、 防犯・防災対策、住まいの長寿化 に該当する助成対象工事 | 助成対象額の10% | 20万円 |
A | 区の他の助成制度・保険給付制度と併せて申請する工事 | 助成対象額の5% | 10万円 |
A | 耐震化助成事業と合わせて申請する耐震工事 | 助成対象額の10% | 20万円 |
A | 住宅リフォーム助成事業でのみ申請する耐震化工事 | 助成対象額の10% | 30万円 |
A | 吹付アスベスト除去工事 | 対象工事費用(税抜)の10% | 50万 |
B | 新しい生活様式への対応工事 | 対象工事費用(税抜)の20% | 10万円 |
リフォームは空き家の購入が前提となりますが、空き家の購入を考えている場合はぜひ活用したいところです。
大田区は空き家活用に開かれた街
大田区は住宅数も空き家数も多く、さらに行政の空き家対策も活発な、いわば空き家活用に開かれた街です。それだけに空き家と出会える可能性も高く、どんな空き家が隠れているか分からないワクワク感があります。
しかし、隠れた空き家も流通しなければ出会うことができません。
だからこそ「アキサポ」のような専用のサービスが、まだ見ぬ空き家との出会いをサポートする必要があります。
空き家活用とは地域に眠った資産を再活用し、地域に活気を与える行為でもあります。あなたも空き家活用を利用して、個性豊かな大田区の一員になってみてはいかがでしょうか。