公開日:2021.10.29 更新日:2024.08.09
奥多摩(東京都)の空き家事情とは?地域性の特徴や0円空き家バンクについて解説
東京都の中で最も西側に位置する奥多摩は、同じ東京都でも都心部とは全く異なる特徴を備えており、実は移住希望者や空き家関連のサポートにも力を入れているエリアでもあります。
そこで今回は、奥多摩の空き家に興味をお持ちの方向けに、奥多摩の地域性の特徴や魅力をはじめ、奥多摩の空き家事情、空き家の探し方など、知って得する情報を分かりやすくまとめました。
空き家をお探しの方はもちろん、空き家をお持ちの方にも耳寄りな情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。
奥多摩はどんな所?地域の特性や魅力を紹介
まずは奥多摩の地域性や魅力をまとめます。
奥多摩の地域性
奥多摩(東京都西多摩郡奥多摩町)は、東京都23区以西エリアの総称である「多摩地域」の中で最も西側に位置する西多摩郡に属しており、東京都の市区町村の中で一番広い225.53k㎡もの面積を持っています。
地理的には、東京都の中で最も西側に位置しているため、北側には埼玉県、南側には山梨県と、他県との県境にあるのが大きな特徴でしょう。
「東京」と聞くと、多くの方は都会であることをイメージするでしょうが、奥多摩はそのイメージとは大きく異なり、面積の94%を森林が占めるなど、自然に囲まれた環境が広がっています。
【奥多摩における自然の代表例】
・巨樹が日本一多い ・「東京都の水がめ」と呼ばれる小河内ダムがある ・水道専用の貯水池として日本最大級の大きさである奥多摩湖がある ・東京都で一番、山が急峻である |
また、年間平均気温は約11℃~12℃と低く、東京都心と比較して、冬場の最低気温では10℃以上の開きがあるなど、気候面が都心部と大きく異なる点も特徴的です。特に冬の冷え込みは仙台市や酒田市といったの東北地方沿岸部よりも厳しく、町の平野部でも50cm程度、場所によっては1m以上の積雪となる場所もあります。
いっぽうで、8月の最高気温が30℃を下回る日も多いなど、夏は都心よりもずいぶん涼しく、過ごしやすさに優れています。
奥多摩のアクセス面
奥多摩への公共交通機関を用いたアクセスの核となるのは、1日あたり1,800~1,900人程度(過去5年間のデータ)が利用する「奥多摩駅」です。JR東日本青梅線の終着駅に設定されており、東京都内で最も西に所在する駅となっています。
以下に東京都心からの所要時間を紹介しますので、アクセス面の参考にしてみてください。
・新宿駅→奥多摩駅:1時間50分前後 ・東京駅→奥多摩駅:1時間50分~2時間強 ・品川駅→奥多摩駅:2時間~2時間40分 |
また、鉄道以外でも西東京バスが、奥多摩駅~奥多摩湖・丹波山村・小菅村・鍾乳洞・清東橋方面に運行しているほか、奥多摩駅では配車手配を行うことによりタクシー利用も可能です。
ちなみに車での移動に関しては、高速道路を使っても東京都心部から2時間前後と、鉄道でのアクセスと所要時間に大きな違いはありません。
奥多摩の魅力とは
奥多摩の大きな魅力といえば、やはり豊かな自然でしょう。町自体が、林野庁の構想により具体化された「科学的エビデンスを持ち、予防医学的効果を目指す森林浴が行える場所」を示す「森林セラピー基地」に指定されており、自然とのふれあいやアウトドアを存分に満喫することが可能です。
事実、観光客の大半は登山をはじめとしたアウトドアを目的として来訪しており、東京都心から2時間程度でアクセス可能という利便性も相まって、年間約150万人程度※の観光客が奥多摩を訪れています。
※西多摩地域広域行政圏協議会調べ(平成30年)
【奥多摩の主な名所・環境スポット】
・鳩ノ巣渓谷 ・日原鍾乳洞 ・大増鍾乳洞 ・奥多摩湖 ・氷川国際ます釣り場 ・山のふるさと村(そば打ち体験などが可能) ・複数の温泉(奥多摩温泉・鶴の湯温泉など) |
また、奥多摩町では少子化対策にも力を入れており、自然に囲まれた環境の中で安心・安全に子育てが行える点も魅力のひとつです。
【奥多摩町の具体的な少子化対策例】
1.子育て支援事業
「保育園の保育料は第1子目から無料」「高校への通学定期代を全額助成」「子どもへの医療費助成も高校生まで全額助成」など、15に及ぶ子ども・子育て支援推進事業を独自に実施。
2.奥多摩町子ども家庭支援センター「きこりん」
0歳から18歳未満の子育てを応援するための施設として運営されており、「子どもや家庭に関する相談」「地域で助け合いながら子育てを進めるためのファミリー・サポート・センター事業」などを実施。
3.教育施設
小中学校ごとの裁量で自由に使える資金を町から拠出しており、「英語教育の強化」「タブレット端末の導入」「細やかな指導を行うための人材確保」といった取り組みにより、町の中学生は全国平均より高い学力を習得。
以上のように、奥多摩は子育ての面でも複数のメリットを得られる特徴を持っているため、「観光目的」だけでなく「住む」上でも独自の魅力を備えた地域だといえるでしょう。
奥多摩の空き家事情
ここからは、奥多摩の空き家事情について、具体的なデータを交えながら分かりやすく解説します。
奥多摩の空き家の現状について
空き家とは「人が住んでいない住居」を意味するため、該当地域の空き家事情をひも解く上では、人口推移が大きく関連しています。
そこでまずは、奥多摩の人口推移について見ていきましょう。
上記は1960年から2015年までの奥多摩の人口推移をまとめたデータです。
ご覧のとおり、奥多摩の人口は右肩下がりを続けており、1960年に13,785人だった人口は2015年には5,234人まで減少。人口自体は減少傾向にあるいっぽうで老年人口割合は増加しており、以下のように、若年層と老年層の割合はここ50年ほどで完全に逆転し、典型的な少子高齢化を迎えています。
さて、では肝心の空き家事情についてですが、まずは奥多摩のここ最近の空き家率をご覧ください。
・2016年4月:空き家率16.4% ・2017年4月:空き家率17.1% ・2018年4月:空き家率17.6% |
一目瞭然ですが、空き家率は年々増加しており、2018年4月時点の調査では480戸もの空き家が奥多摩には存在しています。
空き家率が増加している主な原因はやはり少子高齢化となっており、「所有者の高齢化」「独居高齢世帯の施設入居に伴う不在化」「家屋や土地の権利問題の未解決」など、元々の所有者が住居を手放した際の相続がスムーズにいかず、結果として空き家が増えている事態を生み出しています。
空き家の老朽化も大きな課題
前述のとおり、奥多摩では2018年4月時点で480戸の空き家が存在していますが、復旧可能な住宅はそのうちの半分程度と見られています。復旧が難しい主な理由は、進み過ぎた老朽化や地滑りの危険性がある地区に建てられている点です。
そもそも日本では、「第2次世界大戦後」「経済が急成長した1980年代」と、過去2度の人口急増が起きていますが、それに伴い住宅不足が置き、量産型かつ安価な住宅が短期間で建てられました。
しかしながら、量産された住宅は質が悪いものが多く、年月の経過に伴い建物の老朽化が加速。結果として日本人のおよそ8割以上が新築を選ぶこととなり、過疎化が進む奥多摩などの地域では、空き家が増加するだけでなく、現存する空き家の老朽化も大きな問題となっています。
奥多摩で空き家を探す方法は?0円空き家バンクとは?
ここからは、奥多摩で空き家を探す方法を中心に、空き家バンクに関する解説や空き家活用方法などをまとめます。
空き家の探し方①:地域の不動産屋
地域の不動産屋といえば、賃貸物件を探す際に訪れるのが定番ですが、実は空き家探しでも活用可能です。
地域の不動産屋の大きな強みは、その地域の特徴や物件に関する理解が深いところ。
周辺環境やアクセス面、利便性など、希望条件を細かく伝えておけば、表に出回っていない掘り出し物件を紹介してくれることも珍しくありません。
空き家の探し方②:不動産ポータルサイト
ネットを通じて手軽に全国各地の物件情報を検索できる不動産ポータルサイトは、「手軽さ」という面が最も魅力的なポイントです。
住みたい場所が遠方であるなど、なかなか簡単に現地へ出向くのが難しい場所でも、希望条件を入力するだけで物件情報が閲覧できるため、不動産ポータルサイトを用いてまずは該当地域の空き家の価格相場・特徴などを把握するのもひとつの手でしょう。
空き家の探し方③:空き家バンク
そもそも空き家バンクとは、自治体が主導する形で「空き家を貸したいor売りたい人」と「空き家を借りたいor買いたい人」を仲介する制度です。
空き家所有者から提供された情報を集約し、その情報を提供することにより、積極的な空き家利用が促進されるとともに、有効活用すれば地域の活性化にもつながるため、現在では全国各地の自治体で空き家バンクが運営されています。
奥多摩での空き家バンク
奥多摩町では、空き家などの有効活用による地域の活性化を目的として、2014年に空き家バンクを開設しました。売却物件だけでなく、賃貸物件も取り扱うほか、居住用・事業用の両方に対応しており、幅広いニーズをカバー出来るのが大きな強みです。
さらに、奥多摩への若者世帯の定住促進を目的とした若者世帯向け特化型空き家バンク制度である「奥多摩町若者用空き家バンク」を提供しており、若年層の受け入れにも力を入れています。
【奥多摩町若者用空き家バンクの利用条件】
・35歳以下の単身世帯 ・45歳以下の夫婦 ・子ども(中学生以下)がいる世帯 |
また、年齢要件や定住要件に合致しないため空き家バンクを利用できない人、アトリエ、倉庫、別荘などを探している人向けの「0円空き家バンク」を提供。「無料でも空き家を手放したい」という人向けの制度となっており、原則土地付きの物件について、譲り受ける側が契約や登記費用を負担するだけで空き家を入手することが可能です。
ちなみに0円空き家バンクでは定住利用が前提とされておらず、建物の解体後に土地だけを利用したり、アトリエや倉庫など活動拠点として利用したりと、活用の自由度が高い点も大きな魅力です。
空き家の探し方④:その他奥多摩での空き家関連制度
空き家バンク以外にも、奥多摩では空き家に関連した以下のようなさまざまな制度が用意されています。
1.奥多摩に暮らしたい人登録バンク
登録しておくと、メールマガジンによって奥多摩町の住宅情報が届く制度。町営若者住宅、いなか暮らし支援住宅、若者定住応援住宅、分譲地などの情報が届く。
2.奥多摩町定住促進サポート事業支援金
奥多摩町への移住・定住の促進、また中小企業などにおける人手不足の解消に貢献する目的で、定住者を支援する制度。都内から奥多摩町に移住し、就業又は起業した人を対象に、最大100万円の事業支援が交付される。
3.奥多摩町空き家等活用促進事業交付金
空き家活用の促進により、地域の元気づくりを推進するための制度。空き家の寄付(町への寄付)、特定空き家などの解体、空き家バンクへの登録などを実施し届出を行った人に、最大200万円の交付金を交付。
【空き家所有者におすすめ】空き家活用サービス
空き家を所有している方にとって、空き家バンクへの登録や売却などは確かに有効な選択肢のひとつではありますが、近年「空き家活用」が人気を集めているのをご存じでしょうか?
ここで述べる空き家活用とは、「空き家にリフォームやリノベーションを施し、第三者に貸し出す手法」のことです。
空き家活用の大きな特徴は、ひとつひとつの物件の特性や地域性を踏まえた幅広い活用が可能な点。宿泊施設やシェアキッチン、飲食店、貸しオフィスなど、さまざまなジャンルの活用が可能であるだけでなく、定期的な賃料収入が得られるため、空き家の有効な資産運用の形として人気が高まっています。
私たちアキサポはこの「空き家活用」に着目し、空き家の使い道でお悩みの方向けに5つのメリットを盛り込んだ独自の仕組みを開発しました。
【アキサポの5大メリット】
・リフォーム、リノベーション費用はアキサポが全額負担 ・賃借人・利用者の募集もアキサポにおまかせ ・空き家活用による賃貸料の一部を還元 ・建物の管理やトラブル対応も引き受け ・建物がバリューアップして戻ってくる |
もちろん、活用を行う際には、現地調査を基にした分析を行い、物件それぞれの特性を活かしたプランニングから実施しています。
特に東京をはじめとした関東エリアで多数の空き家活用を手掛けてきた実績がありますので、興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
奥多摩(東京都)の空き家情報まとめ
今回は奥多摩の地域性の特徴から、空き家事情、空き家の探し方に至るまで、幅広い情報を紹介してきました。
奥多摩は自然豊かであり、のびのびと暮らせる特性を持つとともに、空き家関連の制度や子育て支援制度も充実しているため、移住希望者や空き家をお探しの方はもちろん、空き家をお持ちの方にとっても、さまざまな選択が可能な地域だといえるでしょう。
ただし、空き家をお持ちの方に関しては、空や家バンクへの登録や売却以外にも「空き家活用」という有効な選択肢も用意されていますので、こちらも視野に入れた上でベストな選択を模索すると良いでしょう。
アキサポでは、空き家活用をはじめとした空き家関連のお悩みを幅広くサポートしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
奥多摩で空き家を探す方法は?
奥多摩で空き家を探す方法として、地域の不動産屋や空き家バンクの他に「奥多摩に暮らしたい人登録バンク」があります。
「奥多摩に暮らしたい人登録バンク」は、登録しておくとメールマガジンによって奥多摩町の住宅情報が届く制度で、町営若者住宅、いなか暮らし支援住宅、若者定住応援住宅、分譲地などの情報が届きます。
奥多摩で行っている空き家に関する制度は?
奥多摩では空き家関連の制度として「奥多摩町定住促進サポート事業支援金」「奥多摩町空き家等活用促進事業交付金」があります。
「奥多摩町定住促進サポート事業支援金」では、都内から奥多摩町に移住し、就業又は起業した人に、最大100万円が交付されます。
「奥多摩町空き家等活用促進事業交付金」では、空き家の寄付などを実施し届出を行った人に、最大200万円の交付金が交付されます。
0円物件を取得する際に必要な手続きは?
0円物件は、金銭の取引が発生しないため「売買」ではなく、多くの場合「贈与」に該当します。
贈与とは、他者に財産を無償で譲り渡すことを言い、費用は発生しません。
なお、贈与をするためには、空き家の「所有権移転登記」を行う必要があります。
譲り受けたものの価額が合計で110万円以上になると贈与税が発生します。