公開日:2021.10.12 更新日:2024.08.21
空き家バンク制度とは?メリット・デメリットや登録・購入の流れを解説
空き家バンクとは、全国の市区町村が実施している空き家解決のための施策です。空き家を探しているときに見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?しかし、空き家バンクの詳しい制度や使い方を知らない方も意外といるのでは?
そこで、この記事では空き家バンク制度の概要や流れなどを解説します。
目次
空き家バンクとは?
空き家バンクとは、全国の市区町村が提供する、空き家または空き地のマッチングシステムです。市区町村の空き家担当部署が窓口となり、空き家または空き地を売りたい・貸したい人と、それらを買いたい・借りたい人をつなぎます。
空き家バンクへの登録や閲覧などは無料で行えますが、実際に売買や賃貸をする場合は、民間の不動産業者に仲介してもらうため、手数料がかかります。また、無料で登録できる関係から、通常であれば買い手がつかないような物件も登録されている場合があり、価格が比較的安い傾向にあります。
空き家バンク制度が始まった背景と目的
そもそも空き家バンクとは、全国で増え続ける空き家を解消するために始まったものです。空き家増加の主な原因は、人口減少や高齢化であると言われており、空き家状態が長期化して管理不全を起こす事例も少なくありません。
取り組み自体は空き家の法律と言われる「空家等対策特別措置法」が施行する前からあり、市区町村が独自に条例を制定する形で運用されていました。
空き家は本来、個人の財産の範疇であり、市区町村がその取引に関与するものではありませんでした。しかし、空き家が周辺環境に対して悪影響を及ぼすようになると、自治体に多くの苦情が寄せられるようになり、関与をせざるを得ない状況に。
その結果、市区町村により可能な範囲で考案されたのが、市区町村が窓口となる空き家バンク制度です。
空き家問題は人口減少や高齢化の進行と共に大きくなっています。以下の記事で原因や解決策などについて解説しているので、気になる方はご一読ください。
空き家バンク制度の仕組み
空き家バンクの仕組みは、市区町村が空き家・空き地の情報を掲載するウェブサイトや閲覧簿を用意し、そこに所有者が物件を登録、利用希望者が閲覧し、希望に合う物件があればマッチングするというものです。このとき、所有者と空き家利用希望者の連絡調整もしてくれます。
ただ、市区町村は不動産取引で利益を出すわけにはいかないため、あくまで市区町村がサポートできるのは、所有者と利用希望者をマッチングするまでです。
民間の不動産仲介とは何が違う?
空き家バンク制度はあくまで市区町村が主体となる取り組みであるため、利益を求めるものではありません。また、自治体が物件の取引を促進するために、積極的に広告することもありません。民間の不動産業者と違う点をまとめると、主に下記2点となります。
1:物件の宣伝は行わない 2:物件の賃貸・売買の媒介は行わない(民間の不動産会社などに引き継ぐ) |
民間の不動産仲介の場合、物件の賃貸や売買を成約させるために宣伝を行うことがありますが、空き家バンクではあくまで情報の掲載のみを行います。
また、不動産の媒介(賃貸や売買の仲介をすること)は、宅建業の資格を持つ者でないと行えないため、マッチング後の手続きは民間の不動産会社などに引き継がれます。
空き家バンクを利用するメリットとデメリット
空き家バンクは無料で使えるため、空き家・空き地に困っている所有者にとってはありがたい制度です。また、利用希望者にとっても、割安の物件を見つけられる可能性があります。
しかし、すべての物件に対してメリットばかりがあるわけではありません。あくまで行政が行うサービスのため、民間の不動産会社と比べるとデメリットも出てきます。ここでは、空き家バンクのメリットとデメリットを解説します。
空き家オーナーの場合
空き家オーナー側のメリットとデメリットは下記のとおりです。
4つのメリット
・無料で誰でも空き家を掲載できる ・資産価値にかかわらず掲載できる ・市区町村が運営・サポートをしている ・補助金・助成金が用意されている場合がある |
空き家オーナーが空き家バンクを使う一番のメリットは、無料で気軽に掲載できることです。利用登録をすれば契約不要で利用でき、物件の資産価値にかかわらず掲載してもらえます。また、市区町村という信頼できる団体が運営している点も大きなメリットです。
また、自治体によっては、空き家バンクに登録することを条件に補助金を支給している場合があります。例えば、リフォームや家財処分、空き家管理を目的とした補助金などがあります。
3つのデメリット
・宣伝をしてもらえないためマッチングまで時間がかかることがある ・空き家を修繕する場合自費で行う必要がある ・トラブル対応も自分で行う必要がある |
一方でデメリットとして特に気を付けたいのは、宣伝を行わない点や、利用希望者を見つけやすくしたい場合、自費で修繕をする必要がある点です。
不動産会社に依頼する場合、会社側で広告をしたり、買い取ってから修繕をしたりといったケースがありますが、空き家バンクの場合はそれらのサービスを受けられません。トラブル対応も同様に、物件の不具合や契約内容が異なるなど問題が発生した際に、空き家オーナー自身で対応する必要があります。
空き家の買い手・借り手の場合
利用希望者側のメリットとデメリットは下記のとおりです。
4つのメリット
・無料で気軽に空き家を探せる ・民間の物件より安価な傾向にある ・空き家バンクだけの物件に出会える可能性がある ・市区町村が運営・サポートをしている |
利用希望者側の特筆すべきメリットは、不動産会社には掲載されていないような物件に出会える可能性があることです。一般的に不動産価値が低い物件は出回りにくい傾向にありますが、空き家バンクは不動産価値を問わないため、さまざまな物件に出会える可能性があります。
また、同様の理由で古民家が掲載されている可能性がある点もポイントです。古民家はその風合いから独自のニーズがありますが、不動産価値自体は低いことが多く、一般には出回りにくい傾向にあります。
2つのデメリット
・所有者と直接交渉が必要な場合がある ・都市部では見つかりにくい |
一方のデメリットとして、物件所有者と直接交渉が必要な点があります。市区町村は不動産の仲介行為ができないので、サポートするのは連絡調整までとなります。また、不動産価値の高い都市部においては、空き家バンクに登録されている物件が少ないのもデメリットの一つとして挙げられます。
空き家バンク利用への登録手続きと条件
ここからは、実際に空き家バンクを利用する方法を解説します。
空き家バンクは誰でもすぐに使えるわけではありません。一定の登録条件と、登録までの手続きがあります。
とはいえ、どちらも難しい内容ではないので、ここで基本を理解してから窓口に相談に行くとよいでしょう。
登録条件
空き家バンク登録のよくある条件は下記のとおりです。条件は自治体ごとに異なるため、該当自治体の条件を必ず確認しましょう。
1:空き家所有者に地方税の滞納がないこと 2:空き家所有者が暴力団関係者ではないこと 3:所有権を有する証明書類などを持っていること 4:建築基準法や都市計画法などに違反している物件でないこと |
この中で特に気を付けたいのが4番目の「建築基準法や都市計画法などに違反している物件でないこと」です。
これらの法律に適合しているか否かは、建物の立地や構造の適法性に関係してきます。不動産の取引において重要であるため、登録申請をする前に、市区町村の建築窓口や都市計画窓口などで必ず確認しましょう。
登録手続き・利用の流れ
空き家・空き地所有者が空き家バンクを利用する場合の一般的な流れは以下のとおりです。
1:空き家・空き地がある自治体の担当窓口で空き家バンク登録の申請をする 2:自治体が申請書類を確認し、問題無ければ空き家バンクに登録される 3:窓口やホームページで空き家を閲覧できるようになる 4:空き家・空き地の賃貸・購入希望者が来る 5:不動産業者と協議や物件確認などを行う 6:賃借・購入希望者が物件を確認し、賃借・購入の意思があれば契約手続きに進む 7:賃貸・売買の契約手続きを行う |
市区町村が担当するのは、4の段階までです。所有者と利用希望者の具体的な調整以降は、不動産業者が間に入って実施します。
買い手・借り手の空き家バンク利用の流れ
利用希望者が空き家バンクを利用する場合、一般的な流れは以下のとおりです。
1:空き家バンクの利用登録申請をする 2:希望の空き家・空き地を探す 3:不動産業者を介して内覧や条件の調整などをする 4:条件が整ったら不動産業者に仲介をしてもらう 5:売買・賃貸の成立 |
ただし、空き家・空き地を探しているエリアが決まっているか否かで少し手順が変わってきます。そこで以下に、エリアが決まっている場合と決まっていない場合の流れをそれぞれ記載します。
エリアが決まっている場合の流れ
1:物件を借りたい・買いたい自治体の窓口に問い合わせをする 2:登録されている物件情報を閲覧する 3:希望に合う物件があれば利用登録の申請をする 4:自治体が利用登録の申請内容を確認、問題無ければ登録される 5:現地確認の申し出を行う 6:現地確認の実施 7:物件を賃借・購入したい場合は契約手続きに進む 8:賃借・売買の契約手続きを行う |
エリアが決まっていない場合の流れ
1:空き家バンクの物件を検索できる不動産仲介サイトから探す 2:物件が見つかったらサイトから、物件のある自治体へ問い合わせをする 3:利用登録の申請をする 4:自治体が利用登録の申請内容を確認、問題無ければ登録される 5:現地確認の申し出を行う 6:現地確認の実施 7:物件を賃借・購入したい場合は契約手続きに進む 8:賃借・売買の契約手続きを行う |
国土交通省の空き家バンク総合情報ページが便利
全国の空き家を検索するときに便利なサイトに、国土交通省の「空き家・空き地バンク総合情報ページ」があります。
空き家バンクの情報をはじめ、全国の空き家・空き地情報に関するウェブサイトのリンク集となっており、統合的な情報収集が可能です。
掲載されているリンクには以下のようなものがあります。
国交省に掲載されているリンク一覧
・全国版空き家・空き地バンク ・公的不動産(PRE)情報公開サイト ・国有財産売却情報サイト ・自治体運営空き家情報サイト |
【オーナー向け】空き家バンクを利用する前に「活用」の検討を!
空き家バンクは気軽に使えるサービスですが、広告や費用の面でデメリットもあります。そこで、空き家バンクの前に試してもらいたいのが「空き家活用」です。
空き家活用とは、空き家を貸し出して活用してもらうことを言います。古民家をカフェや宿泊施設に活用する事例が有名で、空き家を維持しながら資産として生まれ変わらせる方法として注目されています。
しかし、自分で活用をするには、どうしても初期投資が必要です。では、どうしたら元手を抑えて活用を実現するのか、ここでは自己負担0円で活用をする方法を紹介します。
自己負担0円でリノベーションし賃貸物件として活用!
空き家活用を考えている方におすすめしたいのが「アキサポ」です。「アキサポ」とは、自己負担0円(※)で空き家活用ができる空き家活用サービスで、2016年のサービス開始から多くの空き家活用を成功させてきた実績があります。
自己負担0円(※)で空き家活用ができる理由は、サービスの仕組みがオーナー様とアキサポ両方にWin-Winにできているためです。
まずアキサポがオーナー様から空き家を借上げ、利用希望者を募集。次に、利用希望者やオーナー様との調整をしてから、アキサポの負担でリノベーションを実施し、月々の賃料をいただきます。このとき、賃料の一部はオーナー様に還元されます。
空き家活用のハードルとなる初期費用を解決できるため、空き家活用に興味がある方は、気軽にアキサポに相談してみてください。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
活用事例
アキサポではこれまで数多くの空き家を活用してきました。例えば、上記は築47年の空き家を賃貸住宅にした例ですが、水回りを中心にリノベーションをした結果、使い勝手の良い物件に生まれ変わりました。
住宅以外にも、例えば上記のようにバイクガレージに活用した例があります。空き家の活用方法は住宅だけではありません。たとえ住宅としての需要がなくとも、別の用途を検討すれば借り手がつく可能性があります。
これらのほかにも、アキサポでは数多くの空き家活用を手掛けています。気になる方は、ぜひ活用事例のページを一度ご覧ください。
空き家バンクは無料で気軽に使えるサービス
空き家バンクは、空き家の賃貸・売買の入口にピッタリな無料で気軽に使えるサービスです。オーナー側には資産価値に関係なく掲載できるメリットがありますし、利用希望者側には、古民家や思わぬ穴場物件を見付けられる可能性があります。
ただ、宣伝を行わないため、マッチングまで時間がかかる可能性がある点は要注意。早くマッチングしたい場合は民間のサービスを選んだ方が良いでしょう。
自身の空き家が「空き家バンクに適さないかも」と思ったら、「アキサポ」を始めとした空き家活用サービスも検討してみましょう。アキサポなら、修繕・リフォーム費用を全額アキサポが負担するため、空き家オーナー様の自己負担0円(※)でサービスをご利用いただけます。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
空き家の価値は、空き家のプロが見たら思いもしなかった側面があるものです。「古い空き家だから…」と諦める前に、一度「アキサポ」に相談してみてはいかがでしょうか?
よくあるご質問
空き家バンク制度とは?
空き家バンクとは、全国の市区町村が情報提供する、空き家または空き地のマッチングシステムです。
市区町村の空き家担当部署が窓口となり、空き家または空き地を売りたい・貸したい人と、それらを買いたい・借りたい人をつなぎます。
空き家バンクに登録するにはいくら費用がかかりますか?
空き家バンクに登録する際の費用は、地域や自治体によって異なります。
多くの自治体では、空き家バンクの登録や閲覧に関する手数料は無料である場合が多いですが、具体的な費用や手数料については、各自治体の空き家バンクのウェブサイトや担当窓口で確認する必要があります。
空き家バンクに登録できる物件は?
空き家バンクに登録できる物件は、建築基準法や都市計画法などに違反している物件でないことが条件とされています。
これらの法律に適合しているか否かは、建物の立地や構造の適法性に関係してきます。
不動産の取引において重要であるため、登録申請をする前に、市区町村の建築窓口や都市計画窓口などで必ず確認しましょう。