公開日:2021.06.02 更新日:2023.11.10
古民家リノベーションで後悔する前に知っておくべきこと。収益化の事例も紹介
古民家をリフォーム(リノベーション)して空き家をきれいに、できれば収益を得たいと思っている方は多いのではないでしょうか?古民家カフェやゲストハウスなどにして、賑わいも創出できたら最高ですよね。
しかし、心配なのが「費用」の問題。古民家リフォームは相場がイメージしにくいですし、収益化失敗のリスクも心配です。
そんな悩みを解決するには、古民家リフォームの方法と費用の基本を知るのが重要。業者に相談する際にも対等の立場で話し合いができるようになります。
そこでこの記事では、古民家リフォームの方法と費用を解説します。
古民家リフォームは本当に収益化できるのか、どう始めたらいいのか、費用を抑える方法は無いのか、収益事例を紹介しながら解説していきます。
※弊社のサービス「アキサポ」では、持ち出し0円で借り手とマッチングするサービスを展開しています。こちらも紹介しますので、ぜひご一読ください。
目次
古民家をリフォームするメリットとは
古民家をリフォームするメリットは、マイナスの遺産をプラスの資産に転換できることです。
固定資産税や維持管理費がかかるだけだった古民家も、ニーズに合ったリフォームをすれば収益を生み出す資産にできる可能性があります。
古民家リフォームを考えるきっかけは、相続から始まるケースが多のではないでしょうか。取り壊すのは抵抗感があると思いますし、活用しながら残せたら嬉しいですよね。
まずは古民家を収益化する方法と収益化事例を見ていきましょう。
古民家は借り手とマッチングすれば収益化できる
古民家を収益化の第一歩は、借り手とのマッチングを成立させることです。
古民家は事業物件として高い需要があります。古民家の雰囲気や木のぬくもりが魅力なのはもちろん、建物の固定資産税が安いため、費用面でもメリットがあります。
また、日本文化を感じられる場として海外観光客からも人気があるため、インバウンド需要も期待できます。
古民家で人気の事業内容は、カフェやゲストハウス、雑貨店など。空間をプロデュースする事業と好相性です。また、最近はコワーキングスペースやオフィスへの転用も見られるようになり、古民家活用の幅は今後さらに増えていくと考えられます。
古民家をリフォームして収益化した事例
実際に古民家リフォームで収益化に成功した事例を見てみましょう。
物件情報
- 築年:明治38年以前
- 立地:京都市営地下鉄東西線「東山」駅徒歩3分(210m)
- 延床面積:1階 21.95平方メートル・2階 31.36平方メートル・延床 53.31平方メートル
- 構造 木造瓦葺2階建
こちらの「ANJIN GION SHIRAKAWA」は、弊社の「アキサポ」サービスでリフォームした物件です。
京都市東山区にある一棟貸しのゲストハウスで、八坂神社や三条の繁華街に近い好立地。目の前には趣を感じる水路が流れています。
リフォーム前は老朽化した京町家でしたが、立地を活かした利活用を考え、京町家の風情を残した、伝統文化の本質を伝えられるゲストハウスへと生まれ変わりました。
京風情が人気なのはもちろん、一棟貸しスタイルが小さい子どものいるご家族にも人気で、東山の文化発信施設として愛されています。
※持ち出し0で空き家のマッチングができるサービス「アキサポ」をもっと知りたい方はこちらからご覧ください。
先に「アキサポ」のサービスを知りたい方はこちら(ページ内リンクでまとめへ)
京都東山・古民家のゲストハウス化の詳細はこちら(築115年超の京町家をラグジュアリーな一棟貸し宿泊施設に)
古民家リフォームで失敗・後悔しないためには
古民家リフォームで失敗しないためには、事前にリフォームの「方法」と「費用」の見通しを付けておくこと、そして、事前に借り手を見つけておくことが重要です。
古民家の需要が高まっているとはいえ、見切り発車でリフォームするのは危険です。思ったより利益が出なかったり、借り手が見つからなかったりすると、リフォーム代の回収すらできない可能性もあります。
事前に借り手を見つけ、事業内容に合ったリフォーム内容にし、失敗無しの古民家リフォームにしましょう。
古民家をリフォームする方法と費用
古民家リフォームの手法は大きく2つ「工務店やハウスメーカーの業者に頼む」方法と「自分でDIYする(セルフリノベーション)」方法です。
業者に頼む方法は、自分でDIYするよりも費用が高くなることが一般的ですが、仕上がりのクオリティが安定しており、失敗が少ないメリットがあります。また、手続きを代行してくれるメリットもあります。
自分でDIYする方法は、DIYスキルによって仕上がりが左右されますが、費用が材料費だけで済むため費用が安価になるメリットがあります。
両方の手順と費用の考え方について解説します。
工務店やハウスメーカーなどの業者に頼む
手順
古民家リフォームを業者に頼む場合の一般的な手順は次のとおりです。
- 業者の選定
- 業者と打ち合わせ・現地確認
- 建築確認申請が必要か確認する
- 使える補助金があるか確認する
- 業者から設計資料と見積もりをもらう
- 設計内容・見積内容の精査
- 契約金額・仕様などの決定
- 契約の締結
- 諸申請手続き(建築確認や補助金など)
- 施工開始
- 随時施工状況チェック
- 施工完了
- 竣工検査
- 物件・各種書類引き渡し
- 業務終了
古民家リフォームを業者に頼む一番のポイントは、古民家リフォームを得意とする業者を選ぶことです。業者探しをする際には、古民家リフォームの実績があるほか、在来軸組工法の物件を多く担当していること、古民家鑑定士が在籍していることなどを目安にするのがおすすめです。
現地確認の際には建物の劣化状況も確認し、必要であれば「耐震診断」や「耐震改修」も検討しましょう。耐震診断・耐震改修は多くの場合自治体から補助金が出るため、こちらもチェックしましょう。
リフォームでも、大規模なリフォームを行う場合は「建築確認申請」が必要な場合があります。手続きや必要書類も増えるため、かならず確認しましょう。
施工後には設計どおり工事が完了しているかチェックする「竣工検査」を行います。契約時の仕様と見比べて、抜けが無いか確認しましょう。
費用の考え方
古民家リフォームに必要な費用は、住宅の状態や施工内容によって変わります。
主な施工種別は下記のとおりで、費用総額と見合わせながら、どの部分にお金をかけるかを検討しましょう。
リフォームの主な部分と内容
- 屋根
瓦や茅葺(かやぶき)など、屋根材の交換。瓦風で軽い「ガルバリウム鋼板」に変更することも。施工面積と材料費で金額が変わる。 - 壁
傷んだ木材の交換や、漆喰の塗りなおしなど。傷みが軽度の場合は洗浄で対応することも。交換後の耐久性も考えたリフォームを。 - 床
傷んだ床材(主に木材)の交換。統一感を出すために全体を交換するのが一般的。床板だけの交換ならそこまで高額にならないが、床下まで修繕が必要な場合は100万以上になることも。 - キッチン
システムキッチンの導入が一般的(システムキッチンの商品代+給排水施工費)。かまどや囲炉裏を活かしたデザインにするケースもあるが、現場施工になるため高額になることも。 - トイレ
便器の交換とそれに伴う給排水の交換。壁や床材の交換など。便器のグレードで費用の大半が決まる。
- 浴室
ユニットバスを入れる場合と、現場施工の場合がある。ユニットバスの場合は、ユニットバスの商品代と給排水施工費、サイズの調整費などが必要。現場施工の場合は設計内容による。 - 洗面台
洗面台の商品代+給排水施工費。 - 耐震工事
耐震診断の結果に基づき、「IS値」という耐震指標値が基準を上回るように工事を行う。元のIS値が低いほど工事が多く必要となる。 - バリアフリー化工事(手すり+スロープ)
手すり・スロープの部材費+施工費。 - 断熱工事
断熱ボードや断熱シートの施工。合わせて防湿シートを施工することも。面積に応じて金額が変わる。 - 冷暖房器具
器具代+施工費。囲炉裏や暖炉などを施工する場合は要相談。
自分でDIYする(セルフリノベーション)
自分でDIYを行う場合は、現状のチェックから施工内容の決定、必要手続きなどをすべて自分で行う必要があります。
古民家の状態が悪い場合だと、柱や壁といった建築物を支持する部分の老朽化を見逃す恐れがあるため、業者に依頼した方が安全です。
そのため、自分でDIYするのは、古民家の柱や壁の状況が健全な場合がおすすめです。
自分でDIYする場合の一般的な手順は以下のとおりです。
- DIY内容の計画・現地確認
- 建築確認申請が必要か確認する
- 使える補助金があるか確認する
- 設計図面を作成し費用を試算する
- 設計内容・費用の精査
- 諸申請手続き(建築確認や補助金など)
- 施工開始
- 随時施工状況チェック
- 施工完了
- 業務終了
業者との打ち合わせが無いため、工程はかなり短縮されます。
ただ、関連する申請手続きの中には、一定の資格が無いと申請できないものもあります(建築確認や耐震補助金など)。この場合は業者に依頼しましょう。
また、建築確認申請の必要性は必ず確認をするようにしましょう。建築確認申請が必要かどうかは、市役所・町村役場の建築担当窓口で相談できます(自治体によっては県で確認する場合もあり)。建築確認申請の手続きをしないで施工してしまうと、後から施工内容について指導が入る可能性があり、工事の一部やり直しが必要となるケースもあります。
費用の考え方
自分でDIYをする場合は、ほぼ「費用=材料費」となります。
そのため、材料の量と品質によって費用が変化します。
ここで気を付けたいのが、床や屋根といった同一の材料を大量に使う場合の総額です。
例えば、瓦の場合、1枚あたりの価格は400円~1,000円くらいですが、これで屋根を覆う場合、数百枚以上必要になります。
例)400円の瓦と1,000円の瓦の差額
1枚 | 50枚 | 100枚 | 300枚 | |
400円の瓦 | 400円 | 20,000円 | 40,000円 | 120,000円 |
1,000円の瓦 | 1,000円 | 50,000円 | 100,000円 | 300,000円 |
差額 | 600円 | 30,000円 | 60,000円 | 180,000円 |
1枚では600円の差額ですが、300枚ともなると18万円もの差額が発生します。
これは、壁や床でも同様に言えること。材料を決定する前に全体の面積を把握し、材料費の総額を算出しておくことが大切です。
また、材料はなるべく手に入りやすいものを選びましょう。特別な材料を使うと、壊れた場合に入手が難しく、修繕がしにくくなってしまいます。
古民家リフォームに使える補助金の例
古民家リフォームの総額は、業者に頼んだ場合1,000万円以上かかるケースも珍しくありません。そのため、持ち出しをなるべく減らすために補助金の活用が不可欠です。
リフォームに関する補助金は、バリアフリーや耐震改修といった目的別に設けられており、それぞれ別々にもらうことができる場合もあります。
ここでは、古民家リフォームに使える補助金の中から、主要な5種類を紹介します。
「介護保険における住宅改修」補助金
要支援・要介護認定を受けている方を対象に、住宅をバリアフリー化する際に給付される補助金です。
対象者と対象施工内容、支給基準額は下記のとおり。施工内容を決定する前に、対象者と対象施工内容に該当するかを必ず確認しましょう。
また、バリアフリーのリフォーム費用は税控除の対象となります。
対象者
要介護者等に該当する者(要支援・要介護認定者)
対象施工内容
- 手すりの取付け
- 段差の解消(*)
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
支給基準額
支給限度基準額20万円の9割(18万円)が上限
要支援、要介護区分にかかわらず定額 。
ひとり生涯20万円までの支給限度基準額だが、要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時 、また、転居 ) した場合は再度20万円までの支給限度基 準額が設定される。
「耐震診断・耐震改修」補助金
昭和56年5月31日以前に着工した建築物(旧耐震基準に基づいて建築された建築物)を対象に、耐震診断と耐震改修の費用に補助金が支給されます。
耐震診断と耐震改修、それぞれ別に補助金が用意されており、両方の支給を受けることが可能です。
補助対象と補助額は自治体ごとに異なります。県と市町村から別々に支給されるケースもあるため、まずは市役所・町村役場の建築担当窓口で確認しましょう。
なお、耐震診断補助金は、耐震診断の結果を見て、耐震改修の必要性があると認められた場合のみ対象となることが一般的です。診断と回収を一括して発注しないように注意しましょう。
また、耐震改修にかかった費用は税控除の対象となります。
長期優良住宅化リフォーム補助金
長期優良住宅(期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅)にするためのリフォームに対しても補助金が給付されます。
支給金額には100万・150万・250万の3つの区分があり、それぞれ条件が異なります。また、三世代同居を目的とした場合や若者・子育て世帯などが申請した場合は50万円ずつ増額されます。
主な条件と補助金額は以下のとおりです。
事業タイプ | 評価基準型 | 認定長期優良住宅型 | 高度省エネルギー型 |
補助限度額( )内の額は下記注1に該当する場合。 | 100万円 / 戸(150万円) | 200万円 / 戸(250万円) | 250万円 / 戸(300万円) |
リフォーム後の住宅性能 | 性能項目のうち、劣化対策、耐震性、省エネルギー対策について評価基準に適合するもの | 所管行政庁から長期優良住宅 (増改築)の認定を受けるもの (全ての性能項目で認定基準に適合することが必要) | 左記の認定を受け、かつ、一次 エネルギー消費量が省エネ基準 比20%削減されるもの |
補助額(工事費分) | ・単価積上方式で算出した額 ・補助率方式で算出した額 (住宅単位でいずれか選択) | ・単価積上方式で算出した額・補助率方式で算出した額 (住宅単位でいずれか選択) | ・補助率方式で算出した額 |
注1)
- 三世代同居対応改修工事を実施する場合
- 令和3年4月1日時点で40歳未満の世帯 が工事を実施する場合(令和3年現在)
- 令和3年4月1日時点で18歳未満の子を 有する世帯、又は申請時点で18歳未満の子を有する世帯が工事を実施する場合 (令和3年現在)
- 自ら居住する既存住宅を購入し、売買契約後1年以内に工事を実施する場合
その他自治体のリフォーム補助金
上記で紹介した補助金のほかに、自治体が単独でリフォーム補助金事業を実施している場合もあります。各条件は自治体によって異なるため、市町村のリフォーム担当部署に問い合わせましょう。
古民家リフォーム費用を安く抑えるには
古民家を収益化するにあたり、リフォーム費用はなるべく安く済ませたいですよね。補助金で費用負担を減らすのも大事ですが、補助金でまかなえる金額はあくまで一部分のみ。元々の施工費用を減らしておくことが大切です。
そこでここからは、施工費用を抑える3つの方法を紹介します。
借り手にリフォーム費用を負担してもらう
古民家で事業を行う借り手が決まっている場合、借り手にも設計に加わってもらい、費用の一部を負担してもらうという方法です。
例えば、飲食店のキッチンや宿泊施設のお風呂など、借り手が内装にこだわりたい場合に
話を持ちかけてみましょう。
借り手と相談する際に注意すべきなのは「施工費用の負担区分を明確にする」、「借り手負担でリフォームした部分を賃貸契約終了時にどう扱うか」の2点です。
特に、借り手負担でリフォームした部分の扱いには要注意。借家契約では「造作買取請求権」という権利を行使でき、借家契約終了時に、借り手が設置した建具・電気・水道施設などの買取を請求することができるのです。
ただ、契約時に「買取義務を負わないこと」の特約を設定すれば買取を拒否することができます。借り手負担分の施工内容もしっかり把握し、造作買取請求権の可否を定めておきましょう。
業者施工とDIYを組み合わせてリフォームする
業者に発注する部分を最低限にとどめ、なるべくDIYで対応する方法です。
例えば、柱や土台・壁といった建築物の構造に関わる部分や、給排水を業者に施工してもらい、内装はDIYで対応するといった具合です。
DIYに慣れている方なら、床板や畳の張替え、ふすまや障子の入れ替え、収納スペースの造作など対応できる範囲も広がるため、施工費をかなり節約することができます。
注意すべき点は「無理に全部DIYでやらないこと」です。
特に、柱・土台・壁・屋根といった建物の構造に関わる部分は要注意。建築物の耐久性や耐震性などに影響する可能性があるため、建築士に相談することをオススメします。
DIYで対応する範囲は、インテリアの範囲に収めておきましょう。
アキサポならリフォーム代0円で借りたい人とマッチング!
空き家のリフォームは一般的に1,000万円以上かかると言われており、補助金やDIYを活用しても百万円単位での出費が必要となります。
リフォーム前に借り手を見つけても、リフォーム代を回収できる保証があるわけではないですし、信頼できる借り手を見つけるのも大変です。
そんな方にこそ「アキサポ」のサービスがおすすめです。空き家のマッチングから収益化までを、所有者の持ち出し0円で対応します。
もちろん、事前にリフォーム代をいただくこともありません。マッチングした事業内容に合わせてアキサポがリフォームを行います。
マッチングが成立した後は、毎月の賃料の一部を所有者様へお支払いします。
古民家の活用でお悩みの方は、ぜひ一度アキサポにご相談を。思い出の詰まった大事な古民家を、利活用という形でもう一度輝かせてみませんか?