公開日:2024.09.20 更新日:2024.09.20
空き家の行政代執行とは?リスクや回避方法を解説
空き家の管理を怠ると、最終的に自治体から「行政代執行」という行政措置が行われる可能性があります。空き家の所有者は、このような措置がなされないよう注意しなければなりません。
ここでは、行政代執行の概要や、行政代執行がなされたときのリスク、行政代執行を回避する方法について解説します。
空き家の行政代執行とは、所有者に代わって自治体が問題の改善を行うこと
行政代執行とは、ある義務を負っている方がその義務を果たさないときに、行政が代理で処理を行うことです。空き家の場合は、適切な管理を行わない所有者に代わり、自治体が問題の改善を行うことを指します。なお、行政代執行にかかる費用は、所有者がすべてを負担しなければなりません。
自治体から「特定空き家」に認定された空き家は、行政代執行の対象となります。特定空き家とは、倒壊の危険性がある建物や衛生的に問題のある建物、管理が行われず著しく景観を損なう建物といった要件にあてはまる空き家のことです。
特定空き家に認定されると、自治体から「助言・指導」「勧告」「命令」が行われ、それでもなお改善が見られない場合は、行政代執行が行われます。
行政代執行では、空き家の状態によって、家屋の解体やゴミの処分など、特定空き家が抱える問題を改善するための措置がとられます。
行政代執行になったときのリスク
行政代執行は、空き家の所有者にとって大きなリスクがあります。「空き家の管理には手間がかかるから」「修繕をするお金がないから」といった理由で空き家を放置していると、大変な問題になる場合があるので、下記で紹介するリスクを把握しておきましょう。
解体費用など、行政代執行にかかった費用が請求される
解体費用やゴミなどの処分費用、修繕費用といった行政代執行にかかった費用は、すべて空き家の所有者が負担しなければなりません。
具体的な費用は、どのような処理が行われたか、空き家がどのような状態だったのかなどによって異なりますが、数百万円といった高額な費用がかかった場合でも、全額が所有者負担となります。
行政代執行の業者は自治体が指定するため、自分で安価な業者を選ぶことはできません。同じ処理を自分で選んだ業者に依頼した場合に比べて、高額になる可能性が高いでしょう。
財産が差し押さえられる
行政代執行の費用を支払えないと、財産が差し押さえられてしまいます。具体的には、下記のような財産が差し押さえの対象となる可能性があります。
<行政代執行の費用が払えない場合に差し押さえの対象となる財産の例>
・給与
・預貯金
・現金
・株式
・自動車
・貴金属
・不動産
ただし、給与は全額を差し押さえると生活に支障をきたすため、一部のみが差し押さえの対象になります。とはいえ、月々の給与や保有財産が差し押さえられてしまうと、生活や人生設計に大きな問題が生じるでしょう。
なお、行政代執行にかかった費用は、自己破産しても免除されません。行政代執行の費用は、どのような状況でも支払わなければならない点にも注意が必要です。
行政代執行を回避するための方法
行政代執行には、大きな金銭的リスクがあります。空き家を保有している方は、行政代執行を回避するための対策をとらなければなりません。ここでは、行政代執行を回避するための方法を4つご紹介します。
空き家を適切に管理する
空き家を適切に管理すれば、特定空き家に認定されることも、行政代執行の対象になることもありません。空き家の適切な管理には、下記のような方法が挙げられます。
<空き家を適切に管理する方法>
・定期的に訪問して、換気や清掃を行う
・庭の木や雑草などの手入れを行う
・壁や屋根、塀などに問題がないか確認する
・異臭や虫の発生などがないか確認する
・ゴミの投げ込みなどがないか確認する
空き家の管理には、定期的な訪問と適切なメンテナンスが必要です。空き家が自宅から離れている場合は、空き家の管理サービスなどを行う業者の利用も検討しましょう。
空き家を売却する
空き家を管理する義務を有するのは、あくまでも所有者です。空き家を売却してしまえば、管理義務も購入者に移るため、売却後は行政代執行によるリスクは発生しません。
空き家の売却で利益が出れば収入にもなりますから、メリットが大きい方法といえるでしょう。一方で、立地や空き家の状態などによっては、スムーズに購入者が見つからないといった問題が生じる可能性もあります。また、売却に反対する家族がいた場合、トラブルにつながるケースもあるので注意が必要です。
空き家の売却は、後戻りができない大きな選択です。後悔がないよう、慎重に進めることが大切です。
空き家を賃貸物件にする
空き家を賃貸物件にして、行政代執行を回避することもできます。行政代執行の対象となる特定空き家はあくまでも「空き家」が対象ですから、入居者のいる賃貸物件は対象になりません。
また、人が住むことで、建物の劣化防止にもつながり、自然と換気や清掃などが行われるようになります。賃貸物件として活用するためには、不具合の修繕や補修なども行わなければなりません。このような対応をとっていれば、建物をきれいな状態に保ちやすくなります。
ただし、空き家の状態が悪い場合は、賃貸物件として活用するためのリフォームが必要です。さらに、リフォーム費用をかけても、立地が悪いと入居者が見つからないという事態もありえます。ニーズがどの程度あるのかを踏まえて検討するようにしてください。
空き家を解体して更地にする
空き家を解体して更地にしてしまえば、特定空き家に認定される心配はなくなります。一方で、解体費用がかかる点と、空き家を解体することで、固定資産税評価額が最大6分の1に減額される住宅用地特例の軽減措置を利用できなくなる点には注意しなければなりません。
そのため、更地にした後の活用法を検討した上で、空き家を解体することが大切です。例えば、新たに住宅を建てるのであれば、軽減措置はまた利用できますし、駐車場などにして活用するならば、その収入で固定資産税の増加分をまかなえる可能性があるでしょう。
空き家の管理方法を見直して、行政代執行を回避しよう
行政代執行には多くのリスクがあります。行政代執行の対象にならないように、空き家の管理状態が適切かどうかをあらためて確認しておきましょう。
とはいえ、空き家を所有し、管理を続けるには多大なコストと手間がかかります。空き家の売却や有効活用といった方法についても検討してみるのがおすすめです。
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