公開日:2024.06.05 更新日:2024.06.05
空き家の水道契約は必要?通水の必要性や管理方法も紹介
実家に住んでいた親が、施設に入居したり、亡くなったりしたという理由で、誰も住まなくなった空き家を管理しなければいけなくなった場合、水道契約をどうすればいいのかは悩ましいところです。
入院などで一時的に家を離れているだけなら、一時停止の手続きをしておけば問題ありませんが、長期間空き家になる場合は、水道契約を続けるかどうかを決めなくてはいけません。
ここでは、空き家における水道契約の必要性と、水道管理のポイントについて解説します。
空き家でも水道契約が必要な理由
基本的には空き家でも、水道契約は続けておいたほうがいいでしょう。水道を使う人がいないのに、水道契約を続けるのは無駄なように思えますが、空き家でも水道契約を続けたほうがいい理由には、下記の3つがあります。
錆による水道管の破損を防ぐため
水道契約を止めて、長期間水道を使用しない状態が続くと、水道管はさびてしまいます。場合によっては、錆によって水道管が破損してしまうおそれもあります。
水道管が破損すると、修理のために多額の費用を負担しなければなりません。
悪臭の発生を防ぐため
長いあいだ水道の水を流さないと、排水口から悪臭が発生することがあります。排水管には、下水のにおいが上がってこないように「排水トラップ」が設けられています。排水トラップにはさまざまな形がありますが、共通して流した水の一部を溜めることで、下水のにおいを室内にあげないようにする仕組みになっています。
しかし、水道を止めてしまい、水を流さなくなると、排水トラップ内の水が蒸発していまい、下水のにおいが室内に上がってくるおそれがあります。また、常に悪臭が立ち込めてしまうと、建物ににおいが染み付き、換気してもなかなか取り除けなくなってしまう可能性があります。
害獣・害虫の発生を防ぐため
前述したとおり、排水トラップは、溜まっている水によって下水からのにおいがあがってこないようにしています。もし、水道が止まって排水トラップに水が溜まっていないと、悪臭を防げなくなるほか、下水からネズミといった害獣や害虫が上がってきてしまうこともありえます。そうなると害獣や害虫が、病原菌を媒介して人に健康被害を与えたり、柱などをかじって建物に深刻な被害を及ぼしたりする可能性もあるでしょう。
空き家における水道の管理のポイント
空き家で水道管の劣化・損傷や悪臭、害虫といった被害を出さないためには、水道契約を続けながら定期的に訪れて、水を流すなど水道の管理をする必要があります。ここからは、空き家における水道の管理において、知っておきたいポイントをご紹介します。
空き家の通水の頻度は月1回以上が理想
空き家の通水は、月に1回以上行うことが理想です。通水とは、水道管に水を流すことを指します。空き家を訪れたら、窓やドアを開けて家に風を通すのと同時に、通水を行いましょう。
通水の際は、水に錆が出て赤水になっていないか、以前と水量に変わりはないか、きちんと排水されているか、蛇口付近からの水漏れはないかといった点をチェックしておきます。
また、空き家にあるすべての蛇口を開いて通水を行う必要があります。通水のし忘れがないように気をつけることも大切です。
水道を勝手に使われないために不法侵入者対策をしておく
空き家の水道契約を続ければ、不法侵入者も水道を使えてしまいます。そのため、不法侵入者に対して水道を使わせないようにするための対策も必要です。
建物の水道を誰かに勝手に使われないようにするためには、蛇口に鍵をかけるといった方法をとりましょう。
定期的な通水ができない場合は、管理業者に依頼するのもおすすめ
住まいが空き家から遠方にあるなどの理由で、月に1度の通水が難しい場合は、空き家管理を専門としている業者や不動産会社の空き家管理サービスを利用するのもおすすめです。
費用はかかりますが、空き家の管理のために時間を割く必要がなく、安心して空き家の管理を任せることができます。
管理不十分な空き家は、特定空き家に認定される可能性も
空き家に定期的な通水を行わなかった結果、悪臭や害獣・害虫が発生してしまった場合、地方自治体から「特定空き家」に認定される可能性があります。
自治体は、空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家等対策特別措置法)にもとづき、空き家が下記のいずれかの状態にあると判断された場合に、特定空き家に認定することが可能です。
<特定空き家に該当する空き家の状態>
・著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
・そのほか、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
悪臭や害獣・害虫の発生は、規模によっては「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」にあてはまるおそれがあります。
また、自治体は「現状のまま放置すれば、いずれ特定空き家になるおそれのある空き家」について、「管理不全空き家」に指定することもできます。
特定空き家に認定されることで生じるデメリット
空き家が特定空き家、管理不全空き家に認定され、その後改善が行われなければ、自治体から「勧告」が行われます。勧告がなされると、住宅用地にかかる固定資産税の特例措置が受けられないというデメリットが生じます。これは、固定資産税の額が、最大6倍に膨れ上がる可能性があるというものです。
さらに、特定空き家に認定された場合、改善を行わず、自治体からの命令に従わないと、50万円以下の過料や行政代執行による空き家の取り壊しと、その費用負担などが発生してしまいます。
空き家の水道契約は残しておき、定期的に通水しよう
空き家の水道契約は、止めたほうがいいように思われがちですが、止めてしまうと水道管の破損や悪臭、害獣・害虫の発生などにつながるおそれがあります。
その結果、近隣住民にも被害が及ぶようになってしまった際には、自治体から特定空き家や管理不全空き家に認定され、固定資産税が高くなるといったデメリットが生じる場合もあります。そのため、空き家でも水道契約は継続しておき、月に1度は通水を行うようにしましょう。
とはいえ、誰も住んでいない空き家に定期的に訪れ、管理を行うのは時間的にも金銭的にも大きな負担となりえます。場合によっては、空き家をそのままの状態で維持するよりも、空き家を売却したり、活用したりするという選択肢が、所有者様にとってメリットをもたらす可能性もあるかもしれません。
株式会社ジェクトワンが運営する空き家解決サービス「アキサポ」では、空き家のお悩みに対して親身に寄り添います。特に空き家の活用・売却をお考えなら、さまざまな選択肢の中から最適なプランをご提案いたします。例えば、活用ではコストゼロ(※)で空き家をリノベーションして賃貸物件として貸し出すこともできます。入居者の募集、入居後の管理などもアキサポが一括サポートしますので、お気軽にお問い合わせください。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。