公開日:2024.06.05 更新日:2025.02.10
空き家買取の基本!メリット・デメリットや高く買い取ってもらうためのコツ

空き家を売却する方法のひとつに、空き家買取があります。空き家買取では、一般的な不動産仲介に比べてスピーディーに空き家を売却できます。空き家の売却にてこずっている方や、早く空き家を現金化したいと考えている方は、空き家買取も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、空き家買取にはメリットもデメリットもあります。どのような方法なのかを理解した上で活用しましょう。
ここでは、空き家買取のメリット・デメリットや空き家買取を行う際の流れのほか、不動産会社の選び方などについて解説します。
目次
空き家買取とは?
空き家買取とは、空き家を不動産会社に直接買い取ってもらうことです。不動産会社が空き家の購入者になるため、売買契約を不動産会社と締結することになります。
不動産仲介との違い
空き家の一般的な売却方法には、不動産会社に買い取りを依頼する「空き家買取」と、不動産仲介会社に購入者を見つけてもらう「不動産仲介」の2種類があります。
不動産仲介は、不動産仲介会社が空き家の所有者と媒介契約を結んで購入者を探す方法です。購入者が見つかった場合、不動産仲介会社は仲介手数料として、取引価格をもとに算出される仲介手数料を受け取ります。購入者が見つからない場合は、売却までに長期間かかる可能性があるでしょう。
一方、空き家買取は空き家を不動産会社が買い取って、その後不動産会社が購入者を探します。
空き家買取のメリット
空き家買取にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、さまざまな側面から見た空き家買取のメリットを4つご紹介します。
売却に時間がかからない
空き家買取の大きなメリットに、空き家の売却に時間がかからない点が挙げられます。
空き家の購入者を一から探す不動産仲介では、売却完了までに3ヵ月~1年程度かかる場合が多くなっています。もちろん、購入者が見つかなければそれ以上時間がかかる場合もありえます。
一方、空き家買取は、手続きがスムーズに進めば、数日程度で引き渡しまで完了することも可能です。査定結果などを比較してじっくり検討した場合でも、1ヵ月程度を目安に売却手続きを終えられるでしょう。
不動産仲介に比べ費用をかけずに売却できる
空き家買取では、不動産仲介とは違い、不動産仲介会社に仲介手数料を支払う必要がありません。
仲介手数料とは、不動産仲介会社に仲介を依頼した場合に発生する費用です。そのため、不動産仲介では空き家の売却額から仲介手数料のコストを差し引く必要があります。
仲介手数料は、物件価格に応じて、下記のような上限額が定められています。具体的な仲介手数料の額は不動産仲介会社によって変わりますが、基本的に法定上限額に設定している場合が多いでしょう。
<仲介手数料の法定上限額>
物件価格が200万円以下の場合:物件価格の5%+消費税
物件価格が200万円超~400万円以下の場合:物件価格の4%+2万円と消費税
物件価格が400万円超えの場合:物件価格の3%+6万円と消費税
※物件価格は税抜きの金額
例えば、買取額1,000万円の物件の場合の仲介手数料の上限額は以下のとおりです。
<物件価格が1,000万円の場合の仲介手数料の法定上限額>
1,000万円×3%+6万円=36万円
36万円に消費税を加えた金額が仲介手数料の法定上限額
空き家買取では、このような仲介手数料がかかりませんから、空き家の売却額を不動産会社からそのまま受け取れます。なお、不動産仲介でも空き家買取でも、所得税などについては別途申告と納付が必要です。
古い家など仲介では売れない空き家も売却できる
古い家など、不動産仲介ではなかなか購入者が見つからない空き家でも、空き家買取なら不動産会社に買い取ってもらえる可能性が高まります。
空き家買取では、不動産会社がその後、空き家にリフォームなどの手を加えて活用することが多いため、元の状態が良くなくても買取対象になるからです。
契約不適合責任を負う必要がない
空き家買取では、通常の取引で、空き家の元々の所有者様に課せられる「契約不適合責任」を負う必要がありません。
契約不適合責任とは、物件を引き渡した後で、売買契約の内容に合致しない箇所が見つかった場合、元々の所有者様が負わなければならない責任のことです。
不動産仲介の場合、例えば契約書に「シロアリ被害なし」と記載してあったにもかかわらず、空き家を引き渡した後で被害が見つかった場合などが該当します。このようなケースでは、購入者は元々の所有者様に対して、修繕や契約解除、減額請求などを求めることが可能です。
しかし、空き家買取の場合は、「契約不適合責任を負わない」という内容の契約を締結することができます。売却後に空き家のことでわずらわされる可能性をなくしたい方にも、空き家買取はメリットがあるといえるでしょう。
空き家買取のデメリット
空き家買取のデメリットには、買取相場の安さが挙げられます。空き家買取は、不動産仲介会社に仲介を依頼して買い手を探す場合に比べると、買取額が50~80%程度となる傾向があります。
買取額が低くなる理由は、空き家買取と不動産仲介のビジネスモデルの違いです。空き家買取では、不動産会社が空き家を買い取った後、自社の責任でリフォームなどを行って購入者を探します。そのため、買い取り後のリフォーム費用を見越した金額が買取額として設定されます。
万一、空き家が売れなかった場合には、空き家の買い取りやリフォームにかかった費用は不動産会社の損失になりますから、無闇に高い金額を設定するわけにはいかないでしょう。一方の不動産仲介は購入者を探すだけですから、不動産仲介会社自体がリスクを負うことはありません。
空き家を高く買い取ってもらうためのコツ
不動産会社に空き家を売却するときは、少しでも高く買い取ってもらうためのコツがあります。空き家を高く買い取ってもらうために押さえておきたいコツは、下記のとおりです。
空き家の買取実績が豊富な不動産会社を選ぶ
空き家を高く買い取ってもらうためのコツの1つは、実績が豊富な不動産会社を選ぶことです。不動産会社は、それぞれ得意分野や専門分野が異なります。例えば、新築戸建てを主に扱う会社やマンション販売に特化している会社、中古物件を得意としている会社などです。その中には、空き家買取を数多く扱う不動産会社もあります。豊富な実績を持つ会社であれば、空き家の価値を適切に評価し、ほかの不動産会社に比べて、高値で買い取ってもらえる可能性が高いといえます。
そのため、まずは候補となる不動産会社の空き家買取の実績をよく調べることが大切です。不動産会社のサイトを見て実績についてチェックする、あるいは直接問い合わせてみるのもいいでしょう。SNSで地域の知名度や評判を調べれば、それらも貴重な情報となります。
複数の不動産会社に価格査定を依頼する
できるだけ高く空き家を買い取ってもらうには、一社だけでなく、複数の不動産会社に査定を依頼する方法も有効です。複数の見積もりを依頼すれば、売却価格の相場をより正確に把握でき、各社の査定方法や評価基準の違いを比較できます。
例えば、まずはオンライン査定などを利用し、データをもとに売却額を推し量る「机上査定」で複数の会社から見積もりを取ります。そのうち査定結果が良かったいくつかの不動産会社に絞って、現地調査をもとにした「現地査定」を依頼すればスムーズでしょう。現地調査を依頼する会社も、大手企業と地域密着型の会社を選ぶなどバランスを取るように意識すると、金額に加えて査定理由や根拠も併せて比較検討ができます。
残置物を撤去する
空き家を高く買い取ってもらうためには、残置物の撤去も大切です。残置物とは、居住者が残していった家具、家電、装飾品などのことです。
多くの不動産会社は、空き家を買い取った後、リフォームするか解体して事業に活用します。そのため、照明やガスコンロ、エアコンなどの残置物を撤去・処分せずに残したままの空き家は、そのまま売ろうとしても高い価格がつかない場合もあります。残置物を再利用するケースは少なく、不動産会社は処分のための費用を負担しなければなりません。不動産会社が残置物の処分を引き受けてくれたとしても、その費用は買取価格に反映されるのが一般的です。
また、残置物が多いと、そもそも査定者が建物の状態を正確に把握しづらくなるため、査定額が低く見積もられてしまう可能性もあります。
高値での空き家買取が期待できる不動産会社の選び方

空き家を買い取ってもらう際には、実績豊富で空き家の買い取りに強い不動産会社に依頼しましょう。ここからは、高値での買い取りを期待できる不動産会社の選び方を紹介します。
空き家買取の実績が多い不動産会社を選ぶ
空き家買取の実績が豊富な不動産会社は、それだけ空き家の価値を最大化するためのノウハウに長けている可能性が高いため、高額での買い取りが期待できます。
空き家を買い取った不動産会社は、その後、空き家をリノベーションして賃貸に出したり、売却したりして利益を生み出します。場合によっては、空き家の状態によっては更地にして新たな物件を建てることもあるかもしれません。
いずれにせよ、不動産会社は買い取った空き家に手を加え、プラスアルファの価値をつけることで、買取額以上の利益を生み出すことを目的としています。そのため、より多くの付加価値をつけるノウハウや知見を持った実績豊富な不動産会社ほど、高額な買取額を期待できることが予想されます。
また、実績豊富な不動産会社は、立地が良くない空き家や状態の良くない空き家などの活用法も熟知しています。実績の多くない不動産会社では買い取ってもらえない空き家でも、不動産会社によっては活用法を模索して買い取ってくれる可能性があるでしょう。仮に1社に断られても、あきらめずにほかの不動産会社に相談してみてください。
空き家のある地域に精通した不動産会社を選ぶ
空き家を買い取ってもらう際は、空き家のある地域に精通した不動産会社を選ぶことも大切です。
どのような空き家にニーズがあるのかは、地域によって異なります。多くの地域で通用する一般的な空き家活用のノウハウだけでなく、該当の地域特有のニーズや特性までを踏まえて活用法を検討してくれる不動産会社を選びましょう。
また、その地域の相場に関する情報を持っているかどうかも重要なポイントです。地域の相場を熟知していない不動産会社は、適切な価格査定ができません。いくらで買い取れば利益が出るか正確に見積もれない不動産会社は、損失が出ないように買取額を抑える可能性があります。
反対に、それぞれの地域のニーズを正確に理解している不動産会社や、地域での買取実績が豊富な不動産会社は、妥当性の高い買取額を提示してもらえます。
複数の不動産会社に査定を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼すれば、買取額を比較できます。空き家買取の査定は、仲介で空き家の買い手を探す場合の査定とは異なる意味を持っています。不動産仲介の査定額はあくまでも「この金額での売却が見込める」という数字でしかありません。そのため、実際にその金額で売れるとは限らないのです。
一方、空き家買取の査定額は、基本的にはそのまま買取額になります。複数の不動産会社に査定を依頼することで、それぞれの不動産会社の買取額を事前に確認することが可能です。
空き家買取の査定には、データをもとに売却額の査定を行う「机上査定」と、現地で実際の建物を見て査定を行う「現地査定」があります。通常、机上査定の後に現地査定に移るといった流れになり、売却額は現地査定を経て決定します。机上査定の金額は仮のものですから、まずは机上査定で複数の業者から見積もりを取り、そのうち、査定結果が良かったいくつかの不動産会社に現地査定を依頼してください。
空き家買取の流れ
空き家買取は、実際にどのように行われるのでしょうか。ここでは、空き家買取の一般的な流れを紹介します。
1.査定
まずは、不動産会社の査定を受けます。不動産会社のウェブサイトのフォームや電話などで買取査定を依頼しましょう。
現地に行かずに、周辺の相場などをもとに目安の査定額を出してもらう机上査定の後、実際の空き家を見て査定を受ける現地査定を行うのが一般的です。
現地査定の結果は、3日~1週間程度で回答がもらえる場合が多いです。
2.不動産会社の確定と詳細条件の打ち合わせ
査定結果をもとに、どの不動産会社に空き家の買い取りを依頼するのかを決定します。不動産会社が決まったら、必要書類の確認や売却スケジュールといった詳細の打ち合わせを行います。
3.売買契約の締結
必要書類をそろったら、不動産会社と売買契約を締結します。契約条件をすり合わせて、双方が納得できる売買契約書を作成しましょう。
売買契約の締結時には、5~20%程度の手付金が不動産会社から元々の所有者に支払われる場合が多いです。
4.引き渡しおよび決済
空き家の引き渡し日には、売却額から手付金を引いた金額が不動産会社から支払われます。その後、所有権移転登記と引き渡しが行われ、すべての手続きが完了します。
なお、契約の日程などは基本的に元々の所有者様の都合に合わせることが可能です。仕事の都合上、契約に行ける日が限られているといった場合や、じっくり検討したいという場合でも、特に問題はありません。
空き家買取は不動産仲介に比べ、早急な売却が可能な方法ではありますが、スピーディーに手続きをしなければならないということではないのでご安心ください。
空き家買取時の注意点
不動産会社に空き家を買い取ってもらう際に注意すべき点についても見ていきましょう。買取時の注意点を知っておけば、空き家をスムーズに売却できます。
査定の前にハウスクリーニングを入れない
空き家を少しでも高く買い取ってもらおうと、査定を受ける前にハウスクリーニングを検討する方もいますが、必ずしも効果的とはいえません。空き家買取では、リフォームや解体を前提とした買取が多いため、ハウスクリーニングは査定に影響しないことがほとんどです。
ハウスクリーニングをしたとしても、その費用が売却価格に上乗せされることもあまり期待できません。買取をする不動産会社は、表面的な清掃状態より、立地条件や市場価値に注目します。汚れている場合は、最低限の清掃にとどめましょう。
余裕を持ったスケジュールで売却する
空き家を買い取ってもらう際は、余裕を持ったスケジュールで進めなければなりません。空き家の売却には、予想以上に時間がかかることもあります。一般的な不動産の売却には3ヵ月から半年程度の期間を要しますが、空き家売却にはそれ以上かかることもあるのです。何らかの理由で現金化の希望時期がある場合など、急いで売却しようとすると、買取価格に悪影響が及ぶことも考えられます。
特に注意したいのは、相続した空き家を売却した際に課せられる、譲渡所得税を軽減できる特例措置の適用期限です。譲渡所得税の特例措置を受けるには、相続開始日から起算して3年を経過する日に属する年の12月31日までに売却しなくてはなりません。譲渡所得税の適用期限も考慮しつつ、スケジュールを立てることが求められます。
空き家の名義変更について確認する
空き家の売却を検討する際は、所有権の状況を確認し、必要に応じて相続登記を行う必要があります。
空き家を相続した場合は、名義変更(相続登記)が行われていない状態だと、売却はできません。2024年4月1日より相続登記が義務化されており、相続登記の期限は「相続の開始を知った日から3年以内」とされています。また、2024年4月1日以降に相続が発生した場合、正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料に課せられる可能性があります。
「買取による空き家の売却」に関するよくある質問
空き家を売却する際、どのような書類が必要?
空き家売却時には、主に下記のような書類が必要です。
<空き家売却に必要な主な書類>
1.権利証(登記識別情報)
2.固定資産税納税通知書・課税明細書
3.固定資産評価証明書
4.公図
5.建物の図面
6.住民票
7.印鑑証明書
8.相続関係の書類(相続で取得した場合)
ただし、これらの書類は、物件の状況や売却方法によって異なる場合があります。具体的には不動産会社や司法書士に確認しましょう。
空き家買取の場合、建物の解体費用は誰が負担する?
空き家買取の場合、解体費用は、一般的に不動産会社が負担します。不動産会社は、物件の将来的な活用や再販を見据えて買い取るため、解体が必要な場合は、解体費用も考慮して買取価格を提示します。そのため、解体費用の分だけ、買取価格は下がるケースが多いでしょう。
売主が解体してから土地のみを売却する選択肢もありますが、この場合は当然、売主が解体費用を負担します。どちらが有利かは、個々の状況によって異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
空き家買取で、相続登記が完了していない物件を売却する方法はある?
原則として、相続登記が完了していない空き家は売却できません。相続した空き家を売却する際は、相続人全員の同意が必要となるためです。
しかし、一部の不動産会社は、相続登記が未完了の物件でも、相続人全員の同意があれば買取の相談に応じる場合があります。また、不動産会社のサポートのもと、相続登記の手続きを進められるケースもあります。
なお、相続人間で争いがある場合や、相続人の所在が不明な場合は、買取が難しいため、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。
空き家の有効活用は「アキサポ」にお任せ
空き家を放置していると、コストや管理の手間がかかります。不動産仲介以外にも、空き家買取といった選択肢がありますから、ご自身の要望に合った方法を検討しましょう。
空き家の売却を考えている所有者様には、株式会社ジェクトワンが運営する空き家解決サービス「アキサポ」がおすすめです。空き家のお悩みに対して親身に寄り添い、活用や売却などのさまざまな選択肢の中から最適なプランをご提案いたします。
物件によっては、空き家をリノベーションして資産価値を高めることも可能です。アキサポが空き家を借り上げてリノベーションを行うといったサービスも実施しているため、併せてご検討ください。リノベーション費用はアキサポが負担するため、所有者様はコストゼロ(※)で空き家を有効活用できます。
空き家を所有していて、その活用方法についてお困り事のある方は、まずはお気軽にお電話やお問い合わせフォームからアキサポにご連絡ください。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。