公開日:2023.10.13 更新日:2023.10.13
空き家を放置する7つのリスクとは?リスクの解消手段について解説!
近年では空き家問題解消のため、行政がさまざまな手立てを講じていることもあり、空き家所有者の中には「空き家を放置しているとどんなリスクがあるのだろう?」と気にかけている方も多いでしょう。
そこで今回は、空き家を放置することによる具体的なリスクを解説するとともに、具体的な罰則・罰金、放置空き家の問題を解消する手段など、事前に知っておくと役立つ情報を分かりやすくまとめます。
自己負担を抑えて空き家を有効活用する方法も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
空き家放置の背景とは?深刻化する空き家問題について
総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、日本の空き家率は2018年に過去最高の18%を記録。調査が開始された1973年(昭和48年)には5.5%だったものの、1988年に9.4%、2008年には13.1%と右肩上がりで増加する状況が続いています。
ではなぜ、放置される空き家が増え続けているのでしょうか。
空き家が発生する主な原因は、需要に対して物件の数が上回ってしまう「家余り」ですが、さらにその背景に潜む「少子化」「建物の老朽化」「都市部への人口集中」「所有者の相続問題」といったさまざまな要因が空き家の放置につながっています。
空き家を放置することの7つのリスク
まずは空き家を放置することにより発生する、代表的な7つのリスクについて解説します。
1.老朽化による倒壊リスク 2.不法侵入、盗難などの犯罪リスク 3.害虫・害獣、不法投棄などの衛生リスク 4.地域の景観を損なうリスク 5.近隣住民とのトラブルリスク 6.税金負担が多くなる金銭リスク 7.賃貸住宅として選ばれなくなるリスク |
1.老朽化による倒壊リスク
空き家となった建物の多くはすでに一定の築年数が経過していますが、放置していると老朽化は加速度的に進んでしまいます。
特に日本の住宅は木造が多いため、定期的に換気をしないと湿気が溜まって木材が腐ってしまいますし、定期的なメンテナンスなしでは雨漏りやシロアリなどへの対処も難しいでしょう。
また、老朽化が進めば、瓦や外壁が飛んだり、建物が倒壊したりするなど、大きな事故につながる危険性も高くなります。
2.不法侵入、盗難などの犯罪リスク
第三者から見ても放置されていることが分かりやすい空き家は、しばしば犯罪のターゲットになります。不法侵入や敷地内にある物品の盗難に限らず、時には不審者が住み着いてしまうケースも珍しくありません。
所有する空き家がこうした犯罪に巻き込まれると、物品や金銭の損失だけでなく、空き家自体が「いわくつき物件」となってしまい、将来的な活用の際に悪影響を及ぼす可能性まで考えられますので、所有者にとっては無視できないリスクです。
3.害虫・害獣、不法投棄などの衛生リスク
適切に管理されていない空き家は、衛生面の悪化により周辺環境に悪影響を及ぼす危険性が高くなってしまいます。
特にこわいのが害虫・害獣による被害。庭木の草木が伸び放題となり蚊が大量発生する、空き家に害獣が忍び込み糞尿などをまき散らす、といった事態が起こった場合には近隣の住民に対しても多大な迷惑をかけてしまうことが考えられます。
また、人気のないエリアで放置されている空き家は不法投棄に悪用されることも多く、投棄物による衛生環境の悪化を招く一因となります。
4.地域の景観を損なうリスク
空き家を放置していると、外観面で以下のような変化が起こります。
・建物の老朽化が進み、ぼろぼろの状態となる ・敷地内の草木が伸び放題 ・庭の樹木などが道路や隣の敷地にまで伸びてしまう |
いわゆる「荒れ果てた空き家」を実際に目にしたことがある方も多いでしょうが、やはりこうした空き家が一軒あるだけで地域の景観は損なわれてしまいます。
5.近隣住民とのトラブルリスク
空き家を放置することにより、近隣住民とのトラブルに発展するケースもあります。
・倒壊した建物の一部が隣家に被害を与えた ・火災の延焼によって隣家が被害を受けた ・対象の空き家を中心として近隣にまで害虫が大量発生した |
上記はあくまで一例ですが、被害の内容によっては損害賠償が請求されることもありますので、空き家所有者にとっては非常に大きなリスクだといえます。
6.税金負担が多くなる金銭リスク
倒壊の恐れや周辺地域に迷惑をかける恐れがある「特定空家等※」に指定された場合、以下のように税金負担が重くなる処置が課される可能性があります。
・固定資産税が最大6倍にアップ ・都市計画税が最大3倍にアップ |
空き家を放置していても収益は生まれませんが、税金が増加することになれば、所有者にとっての金銭的なダメージはさらに大きなものとなってしまうでしょう。
※特定空き家についての詳細は後述します。
7.人口減少による住宅需要の減少リスク
ご存じのとおり日本では少子化が進んでおり、今後も人口が減少すると予想されています。さらに近年は都市部へ人口が集中する傾向にありますから、地域によっては急速に過疎化が進むこととなるでしょう。
人口が減れば住宅需要も比例して減少しますので、空き家を放置し続けていると価値は下がり続けるばかり。需要があるうちに空き家を有効活用しなければ、空き家の使い道はどんどん少なくなってしまいます。
空き家を放置することによる具体的な罰則・罰金
空き家を放置していると前述のようなさまざまなリスクを抱えることになるだけでなく、場合によっては罰則・罰金の対象となります。
空き家対策特別措置法とは
空き家の罰則・罰金と大きく関わっているのが、2015年に施行された「空家等対策特別措置法(空き家法)」の存在です。
この法律では深刻化する空き家問題解消のためのさまざまな取り決めが定められており、空き家の定義、所有者の責務、具体的な対処方法などが示されています。
空き家についてはかねてより、責任の所在や行政の対応方法などが確立されていない点が問題視されていましたが、空き家法の制定により行政が関与する形での対処方法が明確化されました。
特定空き家とは
特定空き家(特定空家等)とは、空き家法の中で「一定以上のリスクを抱えているとみなされる」空き家を指す言葉です。
空き家法の大きな目的は、リスクの高い空き家に関する責任の所在や行政の対応方法を明確にすることですが、特定空き家に指定された場合には行政からの指導や勧告、罰則などの対象となる仕組みとなっています。
特定空き家に指定される4つの条件とは
特定空き家の要件については、空き家法の中で以下のように示されています。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 |
ご覧のとおり、倒壊や衛生・景観への悪影響など、持ち主だけでなく周囲にまで危険を及ぼす可能性があると判断された場合には、特定空き家の対象となります。
具体的な罰則・罰金
空き家法に基づき、特定空き家に指定された場合の具体的な罰則・罰金について解説します。
固定資産税が最大で6倍に
まず前提として、空き家に限らず「住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)」に対しては、税金を軽減する「軽減措置」という制度が用意されています。軽減措置が適用されると、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大で1/3にまで税金が減額される仕組みです。
しかしながら特定空き家に指定された場合、この軽減措置が解除される可能性があります。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
軽減措置が適用されている状態 | 最大1/6まで減額 | 最大1/3まで減額 |
特定空き家に指定された場合 | 減額なし | 減額なし |
両者の違いは一目瞭然。特定空き家に指定されて軽減措置が解除されると、固定資産税は最大で6倍、都市計画税は最大6倍にまで跳ね上がる可能性があるため、所有者にとっては大きな負担となるでしょう。
50万円以下の罰金
特定空き家に指定されると、所有者などに対して助言・指導・勧告といった段階的な処置が実施されますが、「命令」が下されたにも関わらず対応しなかった際は「50万円以下の罰金」が科されます。
また、「命令」を受けた空き家に改善が確認されない場合には、行政が代わりに建物の取り壊しなどを行う「行政代執行」が実施されます。その際にかかる費用はもちろん所有者に請求されますし、支払いが難しい場合には財産の差し押さえまで実施されますので、非常に大きなダメージを受けることになってしまいます。
空き家放置を解消する5つの手段を解説
空き家は放置する期間が長いほど大きなリスクを抱えることになりますので、なるべく早く対処したいところです。
そこでここからは、放置空き家の問題を解消する上で役立つ以下5つの手段について解説します。
1.リノベーションして賃貸物件として活用する 2.建物ごと売却する 3.解体して更地にし売却する 4.管理会社へ委託する 5.無料譲渡する |
(1)リノベーションして賃貸物件として活用する
空き家の使い道として特におすすめなのが、リノベーションして第三者に貸し出す「空き家活用」と呼ばれる手法です。
一定の築年数が経過している空き家はそのままの状態で有効活用するのが難しいケースも多いですが、リノベーションにより住環境や実用性、デザイン性などを高めることができれば活用の可能性は大きく広がります。
もちろん、活用の仕方は所有者のニーズや立地、物件の特性などに合わせて選択できるため、宿泊施設、飲食店など、幅広い用途が選べる点も近年注目を集めている理由のひとつでしょう。
私たち「アキサポ」では、事前の現地調査から、プランニング、リノベーション、賃借人の募集に至るまで、あらゆる工程をワンストップでサポートできる体制を整えていますので、興味がある方はお気軽にご相談ください。
(2)建物ごと売却する
手間をかけずに空き家を放置するリスクを回避したい場合には、建物ごと売却するのもひとつの選択肢です。
近年需要が高まっている古民家や建物の状態が良好な場合には、空き家をそのままの状態で売却できる可能性があります。所有者としては面倒な空き家の管理から解放されるだけでなく、現金収入を得られるのが大きなメリットでしょう。
ただし、空き家の状態やニーズによっては売却が難しくなる場合もありますので、予め留意しておきましょう。
(3)解体して更地にし売却する
空き家を解体して更地にした上で売却する方法は、建物がある状態での売却が難しい場合におすすめです。
建物を解体してしまえば、倒壊や犯罪に巻き込まれるリスクが抑えられますし、買主にとっては更地のほうがさまざま用途に活用しやすいことから単純に売れやすくなるメリットもあります。
一方で数十万~数百万円の解体費用がかかるとともに、更地にすると固定資産税および都市計画税の減税措置の対象外となり税金が高くなるデメリットがあります。
(4)管理会社へ委託する
空き家は適切な管理をしていない状態が続くと加速度的に老朽化が進んでしまいます。しかし、立地や時間的な問題などから、自身で定期的に維持・管理するのが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合には、「空き家を維持・管理するためのさまざまな作業を有料で代行する」空き家管理代行サービスを利用するのもひとつの手です。
このサービスでは、屋内・屋外のチェック、通水確認、除草や庭木の剪定、郵便物の整理など、空き家の維持・管理に必要な作業をひととおり依頼できますので、放置によるリスクをまずは軽減したい場合に検討してみると良いでしょう。
(5)無料譲渡する
無償譲渡物件とは、空き家を無償で取引する物件のことです。
「なぜタダで空き家を手放すのか?」と感じるかもしれませんが、特定空き家に指定されるリスクがある、税金などの金銭的負担が重い、空き家の管理・維持から解放されたいなど、「空き家を所有していること自体が負担」である方も数多く存在します。
そうした方にとっては手軽に空き家を手放せる無償譲渡は魅力的ですし、有料での売却が難しい空き家を所有している方が「0円」という付加価値を付けるために無償譲渡を選ぶケースもあります。
放置している空き家をリノベーションして活用するメリット
空き家をリノベーションして活用する方法(空き家活用)についての代表的なメリットを以下にまとめます。
・民泊、宿泊施設、シェアオフィス、飲食店、レンタル倉庫など活用方法が非常に幅広い ・空き家を有効活用して家賃収入を毎月得られる ・常に人が利用することから、空き家を維持・管理する手間が軽減される ・日常的なメンテナンスにより、空き家の資産価値を維持・向上できる ・空き家を所有し続けることができるため、将来的な選択肢の可能性を残せる(子どもに譲るなど) |
このように空き家活用は幅広いニーズをカバーできるとともに、空き家が抱えるあらゆるリスクに対処できるメリットがあるため、検討の価値は十分にあるといえます。
自己負担0円でリノベーションし活用する方法
空き家をリノベーションして貸し出す「空き家活用」にはさまざまなメリットがある一方で、リノベーション時にかかる高額な費用がネックとなるのも事実です。
そこで私たちアキサポは「所有者様の自己負担0円(※)でリノベーション工事を実施する」新たな空き家活用の仕組みをご用意しました。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
具体的には、空き家を借り受けた上でリノベーション工事を実施し、一定期間転貸するサービスとなっており、高額なリノベーション費用の負担を抑えた上で空き家活用を実現することができます。
すでに全国各地で「アキサポ」による空き家活用への取り組みは進んでいますので、空き家の管理や使い道にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
空き家の活用方法は多数!成功事例をご紹介!
空き家活用の仕組みやメリットについてはすでに述べたものの、「具体的な活用イメージが湧かない」という方もいらっしゃるでしょう。
そこでここからは、アキサポが実際に手掛けたさまざまな空き家活用事例を紹介しますので、参考にしてみてください。
事例1:10年空き家だった戸建て住宅は和モダンカフェ&食事処へ再生
10年間空き家だった物件の活用事例です。
長期間空き家状態だったことから、全体的に傷んでいる状態でしたが、特に床は傷んでいる上に湿気で浮いてしまい歩くことも困難な状況でした。
そこで改修工事の際には、周囲の街並みに合うような外観塗装に加え、昔ながらの木の素材感を残したリノベーションを実施。結果的に「昔ながらの雰囲気が気に入った」という利用者からの問い合わせにつながり、和モダンカフェ&食事処として生まれ変わりました。
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事例2:母から受け継いだアパートは面影を残して新たな賃貸住宅へ
築50年超のアパートをリニューアルした事例です。
こちらの物件は所有者様がお母様から譲り受けた思い入れのある建物でした。
そこで、リノベーション時にはあえて思い入れのある元のイメージを活かした外装塗装を施すとともに、お風呂がなかった点を補うために間取りを変更してユニットバスを設置。見た目だけでなく実用性も重視したリノベーションにより、所有者様からは「こんなに綺麗にしてもらってお母さんも喜ぶ」とご好評をいただきました。
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事例3:設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ
長期間空き家となっていた物件を再生した事例です。
こちらの物件では劣化していた設備を中心に改修を行うとともに、庭に生い茂った草木の処理や、破損の恐れがあるカーポートの撤去なども合わせて実施。結果的には所有者様が抱えていたお悩みが解消されるだけでなく、時代のニーズに合った使い勝手の良い賃貸住宅へと生まれ変わりました。
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事例4:ポイントを抑えたリノベーションを施し新たなご家族へ
築40年の空き家を活用した事例です。
こちらは「相続した空き家を売却せずに活用したい」とお問い合わせをいただいた物件であり、相談時には所有者様側で内装の表層リフォームが実施されている状態でした。そこでアキサポの工事では、水廻りの改修や一部倉庫の補修を実施。ポイントを押さえたリノベーションによって、活用後すぐに入居が決まる形となりました。
詳細はこちら
事例5:長年放置されていた空き家は土地を最大限利用した駐車場へ
約10年間放置されていた空き家の活用事例です。
こちらの物件では、建物内の片付け、草木の手入れなどが所有者様にとって負担となっている状態でした。
そこで現状を踏まえてさまざまな可能性を模索した結果、駅からの距離が離れていても収益をあげられるとともに、土地を最大限有効活用できる駐車場としての活用を決定しました。
詳細はこちら
まとめ
放置された空き家は倒壊や周辺環境への悪影響、近隣住民とのトラブルなど、さまざまなリスクを高めることになります。
さらに特定空き家に指定されると、行政からの指導や命令の対象となるだけでなく、最悪の場合、税金が高くなったり罰金が科されたりする可能性もあります。
リスクを回避するには少しでも早く手を打つ必要がありますから、空き家の維持・管理、活用の仕方などにお悩みの方はアキサポまでご相談ください。
空き家活用はもちろん、売却や解体、建替など、幅広い選択肢の中からお客様のお悩みやご要望に合わせて提案させていただきます。