公開日:2020.12.23 更新日:2023.09.30
空き家活用の専門家が解説!実家の管理・維持のポイント
相続した実家に住まない場合はおのずと空き家になりますが、すぐに手放す選択ができる人ばかりではないでしょう。
しかし、空き家を放置してしまうとさまざまなトラブル・デメリットを生む原因となるため、実家をどのように管理すべきかお悩みの方も多いかもしれません。
そこで今回は、多種多様な空き家関連のお悩みに応えてきた「アキサポ」が、空き家を放置するリスク、空き家の維持・管理のポイント、効果的な活用の秘訣などを空き家活用の専門家目線で分かりやすく解説します。
空き家になった実家の管理でお悩みの方はぜひ参考にしてください!
空き家になった実家を放置するデメリット
活用方法や使い道が定まっていない空き家はどうしても管理が後回しになり、放置されがちです。
ところが、空き家を放置するとさまざまなデメリットが生まれやすくなるのをご存じでしょうか?
特に近年では、「空き家問題」解決を目指して2015年5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家対策特別措置法」)」に則り、空き家に対して行政からの措置が行われている影響で、空き家の放置は以前にも増してリスキーになったといえるでしょう。
ではここから、空き家になった実家を放置する主なデメリットを個別に解説していきましょう。
建物や設備の老朽化・劣化が進む
空き家かどうかにかかわらず、建物は築年数の経過とともに老朽化・劣化が進むものですが、適切な管理を行うのと行わないのでは、劣化の度合いに大きな差が出ます。
特にこわいのが、ひとつのよくない出来事を発端にトラブルが連鎖的に起きる「負の連鎖」でしょう。
【放置された空き家で起こる負の連鎖の一例】
①災害(嵐や台風)で窓ガラスが割れる
②窓ガラスの破損により、室内の一部が野ざらしになり、浸食される
③室内にカビが蔓延したり、床が腐ったりする
こういったケースの場合、適切に管理されている物件であれば①の異常に早い段階で気づくことで、その後の②③の被害を食い止めることができます。
しかし、放置された空き家では①の発見がどうしても遅れてしまうことになり、②・③と連鎖的により大きな劣化を招きやすいでしょう。
窓ガラスの修理はそこまで大掛かりな作業ではありませんが、室内にカビが蔓延したり、床が腐ったりするような事態にまで被害が進行すると、原状回復はそう簡単にいきません。
さらに現状回復が難しくなるだけでなく、最悪の場合建物の崩壊や失火を招くような事態にまで発展すれば、損失は計り知れないものとなるでしょう。
崩壊や失火が起こった場合には空き家が荒廃するだけでなく、「民法第717条:土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」に基づき、損害賠償義務を負う義務が発生するリスクも生まれますので、空き家の放置がどれだけこわいものであるかがお分かりいただけるかと思います。
犯罪に巻き込まれるリスクが高まる
管理していない空き家には、持ち主自身も自然と足を運ぶ頻度が少なくなるものです。
こういった状態がある程度続くと、空き家の建物および敷地内が荒廃し、「人が出入りしていない雰囲気が第三者からも明らかに分かる外見」へと自然に移り変わることになります。
いわゆる「廃墟」と呼ばれる場所をイメージすると分かりやすいかもしれません。
この「人が出入りしている気配が感じられない空き家」で特に危険なのが、犯罪リスクです。
多くの空き家は雨風がしのげるだけでなく、周囲から内部の状態までは確認できないため、「人に見られたくない行為の格好のスポット」となってしまうからです。
事実、放置された空き家では、不法侵入をきっかけとして放火・盗難・違法薬物栽培、不法投棄など多種多様な犯罪が実際に行われており、犯罪行為後に持ち主が被るダメージは予測不可能といっても過言ではありません。
空き家の犯罪リスクが気になる!実例をもとにトラブルの原因・回避方法を解説
放置していても税金の支払いは必要
詳しくは後述しますが、たとえ人が住んでいない空き家であっても、固定資産税や都市計画税などの税金は課されることになります。
もちろん放置された空き家はそのままの状態で何らかの利益を生むことはありません。
つまり、「利益は生まないが、税金の支払いは必要」という構図が発生し、放置している限りはひたすら経済的に損な状態が続くことになります。
空き家自体は立派な資産であるものの、やはり売却・賃貸といった第三者への提供により初めて収入につながるものですから、放置すること自体が経済的なデメリットといえるでしょう。
空き家の維持・管理にかかる費用
空き家の管理・維持において多くの人が気になるのはやはり「お金の問題」でしょう。
空き家にかかる費用には2パターンあり、「所持している限りは必須の費用」と「状況に応じて発生する費用」に分けることができます。
では早速、パターン別の費用について詳しく解説しましょう。
空き家を所持している限りは必須の費用
固定資産税や都市計画税などの「税金」は、空き家を所持している限り必須の費用です。
まず「固定資産税」は空き家に限らず、土地・住宅・マンションといった不動産を所有する人全員に発生する地方税であり、市町村の固定資産課税台帳などに所有者として記載されている者が支払い義務を負っています。
記載のとおり土地も対象となるわけですから、もちろん更地であっても固定資産税の対象外とはなりません。
また固定資産税とは別に、所有する土地・建物が市街化区域内に位置している場合には「都市計画税」の対象ともなります。
この固定資産税・都市計画税(条件に当てはまる場合のみ)は、空き家を所持している限り毎年課税されるものですから、費用面を把握するうえでは欠かせません。
ただし空き家の場合、これらの税金には「住宅用地の軽減措置特例」が適用される仕組みとなっており、固定資産税は最大で1/6まで、都市計画税は1/3まで減額されることになります。
※以下参照
ここで気を付けたいのが上記表で記されている「更地」、そして「特定空家に指定された空き家」です。
更地の場合はご覧のとおり、固定資産税・都市計画税の減額を受けられませんが、現在は「特定空家」に指定された空き家も「住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する」こととなりました。
つまり、更地もしくは所持している空き家が特定空家に指定されると、大幅な増税となる可能性が高まりますので、十分な注意が必要でしょう。
状況に応じて発生する費用
こちらのパターンに該当する費用は、空き家の管理・維持を行う上で適宜発生する費用ですので、すべての空き家に共通するものではありません。
・火災保険
・水道光熱費
・設備の修繕費用
・リノベーション費用
・その他備品や雑費(管理に必要な道具や移動時の交通費など)
ご覧のとおり税金と違って必須ではありませんが、空き家を適切に管理・維持し、さまざまなリスクに備えるうえでは大切な費用ばかりです。
そうなると気になるのは「具体的にどの程度の費用がかかるのか?」でしょう。
以下のモデルケースを参考に、年間費用の一例を表にまとめましたのでご覧ください。
・所有者は東京在住
・空き家となった実家は関西に位置
・管理に出かけるのは夫婦で年4回
・空き家は電気・水道など基本的なライフラインのみ常時使用可能な状態
これらはあくまで定期的にかかる費用であり、大掛かりな修繕やリノベーション費用は含まれていません。
また当然ながら、必須費用である税金がプラスαで加算されることまで考えると、適切に空き家を維持・管理するためにはそれなりの費用がかかるのが現実です。
空き家になった実家を管理するポイント・注意点
空き家になった実家を放置するデメリットについてはすでにお話ししたとおりです。
ではここで改めて、「空き家を適切かつ効果的に管理するポイント・注意点」をまとめておきましょう。
空き家の管理で特に気を付けたいポイント
空き家を所持するうえでは、特に気をつけたい以下2つのリスクがあります。
「特定空家への指定」「犯罪に巻き込まれる」リスクです。
これら2つのリスクは、事が起こってしまうと経済的・社会的な損失を被るだけでなく、将来的な活用の難易度がアップしてしまうため、空き家管理では優先事項として念頭に置くことが大切です。
【2大リスクを軽減するための管理で大切なポイント】
・敷地内の草木の整備、建物外観の清掃など「客観的に管理されていることが分かる」状態を保つ
・外壁の剥離・軒裏の破損など、建物の倒壊や保安上の危険を招くおそれのある部分は優先的に修繕
・排水の不具合や害虫の大量発生など、衛生上有害となるおそれのある問題は早めに対処する
・戸締りや施錠を徹底し、簡単に侵入できない環境を作る
まず、特定空家に関しては明確なガイドラインが示されていますから、指定条件に該当しないよう上記のポイントを押さえることが大切になります。
【特定空家指定のガイドライン】
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
また、犯罪リスクを軽減するには「セキュリティの強化」だけでなく、そもそもターゲットにされないために「管理が行き届いており、定期的に人の出入りがある見た目」を維持する根本的対策も重要だといえるでしょう。
空き家の管理で注意すべき点
すでにご紹介したとおり、適切な空き家の管理にはある程度の時間・手間・お金が必要ですから、「更地にしよう」と考える方もいます。
更地にすれば当然、建物の修繕や管理の手間は大幅に軽減されるため、選択肢としては自然な発想といえるでしょう。
ですが更地にすると「住宅用地の軽減措置特例」の対象外となり、建物が建っている時と比べて固定資産税は最大6倍・都市計画税は最大3倍と大幅に税金がアップするデメリットが生まれますので注意が必要です。
また、空き家の管理について「自分ですべてやろう!」と固執し過ぎてしまう点にも注意しましょう。
設備や建物の修繕、リノベーションなどはどうしても所有者だけで対応するのが難しいのが現実ですし、素人が無理に手を出すと、かえって状態が悪化してしまうケースも珍しくありません。
したがって、空き家をよりよく管理するためには、必要に応じて専門家の助けを得ながら二人三脚で進めることをおすすめします。
空き家の管理でもう悩まない!効果的な活用の秘訣
今は使われていない空き家であっても、「将来的には何らかの形で活用したい」と考える所有者がほとんどでしょう。
そもそも空き家を適切に維持する目的は各種リスクの軽減だけでなく、将来的な資産価値を高めるためでもあるはずです。
事実、空き家は所有者が住むだけでなく、売却や賃貸をはじめとした多様な活用方法を持つ「可能性に満ちた資産」といえるほどさまざまな可能性を秘めています。
そこで効果的な空き家活用の秘訣としておすすめしたいのが、空き家活用会社によるサポートです。
空き家活用会社のサポートをおすすめする理由
そもそも空き家を売却・賃貸などの形で提供するためには何が大切なポイントでしょうか?
絶対条件として共通するのは「利用者が欲しい・借りたいと感じる物件」であることです。
それもそのはず、お金を出す以上は何らかの魅力が備わっていなければ利用者が選ぶはずもありません。
もちろん「利用者が欲しい借りたいと感じる物件」に仕上げるため、空き家の所有者は必要に応じて設備や建物の修繕・リノベーションなどを行うのが一般的です。
しかしこれらの工程には数百万円以上の高額な費用が発生するケースが多く、所有者にとっては「手を加えたいのにコストがかかり過ぎる」という悩みの種になるでしょう。
また、例えばリノベーションを行ったとしても、仕上がり次第では「結果的に魅力的な物件に仕上がらず思うように活用できない…」という事態に陥る可能性すらあります。
そんな空き家所有者の悩みを幅広くカバーできる存在として登場したのが空き家活用会社です。
例えば私たち「アキサポ」では、以下のような形で空き家活用をサポートしています。
・初めに、物件の周辺環境や立地条件など現地調査を実施
・調査に基づき、リノベーション・活用プランを提案
・全額費用負担でリノベーション工事を実施
・賃借人・利用者の募集まで行う
つまり、ひとつひとつの空き家の立地や特性を理解したうえで活用プランを提案するため効果的なリノベーションにつながりやすく、なおかつ大きなネックであったコスト面の軽減も行えるわけです。
こうした特性を持つ空き家活用サポートは、空き家の管理・使い道・活用などで悩むさまざまな所有者の想いに応えられるため、まさしく「現代における空き家活用の秘訣」といえるでしょう。
空き家の活用方法は千差万別。
だからこそ、それぞれの物件に合った活用方法を見出すとともに、プラン作りから最終的な活用までに至る一貫したサポートが効果的な空き家活用を成功に導きやすくするのです。
実家の管理・維持のポイントまとめ
今回は、空き家になった実家を放置するデメリットを紹介するとともに、空き家の適切な管理・維持のポイントについて詳しく解説しました。
税金はもちろん、空き家を適切に管理するにはさまざまな費用が発生するだけでなく、相応の時間と労力を求められるのが現実です。
一方で物件に見合った活用を行えば、空き家は多くのメリットをもたらしてくれるのもまた事実。
効果的な空き家活用を進めるには、実績・経験が豊富な専門家に相談するのがベストですから、まずはお気軽にアキサポまでご相談ください。