公開日:2020.08.20 更新日:2024.08.21
親が倒れた時にやることは?必要な手続きともしもの時のための備え
高齢化した親の体調が悪くなってくると「万が一の事態にどう備えればいいのか」または「家族の負担が大きくならないか」など、将来への不安がどんどん大きくなっていくのではないでしょうか。
そこで本記事では、親が突然倒れた時の手続きについて解説いたします。将来大きく関わってくるお金のために、今、必要なことを紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
親が突然倒れた時に必要となる手続きとは?
体調の異変は、急に起こるもの。「もう少ししたら倒れるよ」と予告している人は、まずいません。年齢を重ねていく度に、親が倒れる確率はどんどん高くなります。
では、親が倒れたときにどんな手続きが必要となる可能性が高いのでしょうか。
入院や手術の手配
親が倒れたときにまず必要になるのが、入院や手術等の「病院での手続き」です。親の意識があるときは、親の希望を聞きながら手続きを進めていきますが、もし親の意識がないときは、実子もしくは近い親族が契約治療や手術の同意などの手続きを行う必要があります。
生命保険や医療保険の申請
生命保険や介護保険は、保険金が下りたり認定を受けたりするまでに1~2ヶ月ほど時間がかかることがあります。親の看病や介護資金のために必ず必要となりますので、できるだけ早めに申請しておきましょう。親が被保険者となっている医療保険を請求するためには、申請者が「指定代理人」となっていなければいけません。指定代理人となるには「該当保険に指定代理請求特約がついていること」「指定代理人として申請していること」が条件です。そのため、親が加入している保険内容と特約を確認し、指定代理人請求をしておきましょう。
会社への休職届け
親の意識が戻らないときや言葉が上手く話せないような状況のときは、親の勤務先に休職願いを出しましょう。会社によって届出の方法は異なりますが、まずは電話連絡をして必要書類などを確認してください。中にはお見舞金や休職手当などを支給してくれる会社もあります。
介護施設の入所契約
介護施設に入所するには、一般的 には自治体の介護認定と健康診断書や診療情報提供書等が必要です。生活援助や身体介助のレベルによって介護認定は決まります。介護認定のない方はまずは自治体の介護保険課もしくは地域包括支援センターへの申請を行います。申請時に主治医の意見書が必要になりますので主治医の連絡先を確認してと良いでしょう。介護認定が下りれば、入居申込や契約、ケアプラン作成に向けた事前面談、健康診断書・診療情報提供書作成などが必要となります。
ただし、老人ホームによって賃料や医療体制が大きく異なるため、介護施設は慎重に選びましょう。下記サイトでは、介護施設を無料でご紹介しています。体験入居や料金の比較検討もできますので、ぜひ参考にしてください。
参考:老人ホーム・介護施設をお探しなら【みんなの老人ホーム】
万が一の事態に備えて親に確認しておくべきこと
親が倒れた後に意思疎通ができなくなった時のことを考え、親の財産の処分方法や相続についても、予め視野に入れておく必要があります。そこで、万が一の事態に備えて親に確認しておくべきことをチェックしていきましょう。
親と意思疎通ができないような状態に陥ってしまったときの確認方法も、併せてご紹介しています。
銀行口座や印鑑の保管場所を聞く
入院や治療内容によっては、高額な医療費が必要なこともあります。治療費や入院費用を賄うためにも、親名義の銀行口座や印鑑の保管場所を聞いておきましょう。
ただし、本人不在の状態で、銀行窓口でお金を引き出すときは、通帳と印鑑以外に「委任状」も必要となります。もし、本人の意思確認や委任状を用意できない場合は、相続開始まで払い戻し請求ができない可能性が高いです。
カードの暗証番号を聞いておく
委任状を用意する時間がない場合には、キャッシュカードと暗証番号が必要です。この2つさえあれば、親の銀行口座から現金を引き出せます。
ただし、預金を引き出す場合は、兄弟や親族とトラブルにならないよう十分に注意する必要があります。相続トラブルを避けるために、医療費や介護に使ったお金については、必ず明細や領収書をもらい保管しておくようにしましょう。
定期貯金や不動産の有無
相続が発生することを考え、定期貯金や所有不動産の有無を確認しておきましょう。親が認知症を患っている場合は預金有無の記憶が曖昧になっている場合もありますので、できれば残高証明書や登記事項証明書やなど、書面で確認しておくと確実です。
登記事項証明書を確認するときは、登記名義人もしくは権利部(甲区)の所有者が誰なのかをしっかりチェックしてください。「実家の名義は親」と思っていても、実は本当の所有者が他にいたというケースも少なくありません。
月々の返済や金額
住宅ローンや商品の分割代金など、月々返済している借金があれば、支払い先と残高についても確認しておきましょう。
もし、親が他界し当人から詳細を確認できない場合であれば、「全国銀行個人信用情報センター」に問い合わせると、銀行からの融資を受けた履歴を照会してもらえます。ただし、情報開示請求できるのは、法定相続人となります。
今度もらえるお金のためにしておく手続き
保険や医療費の還付など、親が倒れた時にもらえるお金もあります。中には、家族が代理申請しないと入ってこないお金もあります。
そこで、親が倒れたときに、入ってくる可能性のあるお金と請求手続きについてみていきましょう。
医療保険の請求
原則として、医療保険の請求は契約者本人でなければ申請できません。ただし、医療保険に「指定代理請求特約」が付いている場合、本人に変わって代理人が申請できるようになります。
指定代理人がいる場合は、代理人自身が契約している保険会社もしくは代理店に連絡し、医療保険交付の申請手続きを進めましょう。
高額医療費の請求
高額医療費とは、自己負担分の医療費が高額になった場合、一定金額を超えた費用分が後日還付される制度です。
高額医療費請求には「事後請求」と「事前請求」とがあります。事前に手続きを済ませておかなくても、事後請求を使えば後から申請することが可能です。いずれも申請時期は異なっていても、負担額に変わりはありません。
介護保険の請求元
介護保険は、被保険者の介護が必要となったとき費用の一部を負担してくれる制度。1割程度の自己負担額で、介護サービスが受けられるようになります。
利用した介護保険の自己負担は、介護施設やケアマネージャーなどの利用した介護サービス提供者から請求されます。
医療費の確定申告
医療費控除を適用させると、支払った医療費の額によって所得税の控除が受けられます。つまり簡単にご説明すると、医療費をたくさん支払うと、税金が安くなるシステムが利用できるのです。
医療費控除を受けるには、確定申告時に「医療費控除の申請書」を提出する必要があります。ただし、医療内容によっては還付されない場合もありますので、控除対象かどうか必ず税務署で確認してみてください。
親が倒れたまま他界した場合はどうなる?
ここまでは、親が倒れてしまったときに必要な手続きについて、ご説明してきました。
しかし「親が倒れてしまったまま、意識が戻らない」「容態が急変して息を引き取った」という可能性もゼロではありません。もし、急に他界してしまったときは、医療費や介護の手続きではなく「相続手続き」が開始されます。
そこで、親が倒れたまま他界した場合に備え、相続手続きについても知識を入れておきましょう。
相続手続きについて
相続の手続きには、期限があります。この期限内に遺産の処分方法を定めなければいけません。相続方法の決定は「相続開始を知った日から3ヶ月以内」です。
相続手続きにおいて重要ものとして、相続放棄するか否かという問題があります。遺産はプラスの財産だけでなく、借金のようなマイナス分も遺産のひとつとしてカウントされます。もし、親の借金が多く負債を負担したくない場合には、相続開始から3ヶ月以内に相続放棄する必要があります。
相続放棄については、下記ページで詳しく解説しています。相続放棄の方法を詳しく紹介していますので、こちらも併せて参考にしてください。
相続人には納税義務が発生する
相続には期限があると前述しましたが、相続税の納税にも期限があります。「被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に相続納税」をしなければ、税務署からペナルティが課せられます。
相続税を支払うのは、原則として相続人全員です。故人の遺産から借金や葬式代を除いた遺産に対して、相続税が課せられます。
ただし、相続税には基礎控除という「一定額内であれば税金がかからない」という控除制度があります。課税対象の遺産が一定額かどうかを確認し、控除内かどうか、しっかり確認しておかなければいけません。
相続税の申告が不要なボーダーラインは、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の式で算出します。例えば、相続人が2人であれば、遺産総額が「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」以内の額であれば相続税はかかりません。
相続税の納税額を確認するには、専門家である税理士に依頼するのが一番。以下に記載するサイトは「ビスカス」という税理士紹介サイトです。「どの税理士に頼めばいいのかわからない」「負担が少ない税理士に頼みたい」など、専門のコーディネーターがお客様のご要望に合った税理士を無料で紹介してくれます。
相続財産センター ビスカス公式サイト
まとめ
親が倒れたときには、入院や医療費のみならず介護などの手続きがあることを視野に入れておきましょう。特に親が高齢化している場合には、相続開始手続きが発生する可能性もあります。
もし相続が開始されれば、相続人は遺産の額によって納税義務も生じます。突然、空き家となった実家を相続する可能性が出てくるかもしれません。思わぬ相続による負担を大きくしないためには、納税方法や不動産処分方法をしっかりと確認しておくことが大切です。万が一に備えて、ソーシャルワーカーや税理士、不動産会社などの専門家に頼ることも検討しておきましょう。
よくあるご質問
親が倒れた時にまずやるべきことは?
親が倒れたときにまず必要になるのは、入院や手術等の「病院での手続き」です。
親の意識があるときは、親の希望を聞きながら手続きを進めていきますが、もし親の意識がないときは、実子もしくは近い親族が契約治療や手術の同意などの手続きを行う必要があります。
その他に、保険の申請、会社への休職届け、介護施設の入所契約などが必要な場合もあります。
緊急時に備えて準備しておくべき書類や情報は?
入院や治療内容によっては、高額な医療費が必要なこともあります。
治療費や入院費用を賄うためにも、親名義の銀行口座や印鑑の保管場所を聞いておきましょう。
また、親が倒れた後に意思疎通ができなくなった時のことを考え、親の財産の処分方法や相続についても、予め視野に入れておく必要があります。
親が他界した場合の相続手続きは、いつまでに行えば良い?
親が他界した場合の相続手続きは、単純相続か相続放棄の選択を相続開始日から3ヶ月以内に行う必要があります。
また、相続税の申告期限は被相続人の死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内、不動産の相続登記は取得したことを知った日から3年以内に行う必要があります。