公開日:2022.06.20 更新日:2024.08.21
空き家問題の対策事例と、自治体や国による対策・取り組みとは?
空き家は今や全国的な問題となっており、国や各自治体でもさまざまな空き家対策を講じています。空き家問題は相続をきっかけに起こるケースが多く、実家を相続して頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、国や自治体の空き家対策を取り上げつつ、個人でも取り組める具体的な対策方法について解説します。
空き家問題に対する国や自治体の対策・取り組みについて
空き家問題が強く認識されるようになってきたのは2010年頃から。空き家が周辺環境に実害を及ぼすケースが目立つようになり、人口が減少トレンドに入ったこともあって全国的に問題意識が強くなっていきました。
これに対して国や全国の自治体も主体的に取り組むように。空家等対策特別措置法も制定され、空き家への自治体の介入がスタートすることとなります。
まずは、空き家問題の現状と国や自治体の取り組みについて見ていきましょう。
空き家問題とは?社会問題となっている日本の空き家事情
参照:住宅及び世帯に関する基本集計 空き家数及び空き家率の推移-全国(1958 年~2018 年)
空き家が年々増加していることは知っている方が多いと思いますが、その増加ペースはかなり早く、2008年から2018年の10年間で90万戸以上増加しています。
空き家増加の背景には人口減や高齢化などがあり、相続や親の介護施設への入居などをきっかけに発生するケースが多いです。
さらに空き家を相続した人が空き家の近くに住んでいないケースもあり、空き家の放置により周辺環境へ悪影響を及ぼしたり、建物そのものが破損したりといった問題も起こっています。
空き家対策における国と自治体の連携について
空き家対策は国を挙げての課題となっており、国・県・市区町村がそれぞれ連携し、情報共有を行いながら対策にあたっています。
国は対策の方向性や計画の策定、県は広域的な補助金の交付や市区町村の取りまとめ、市区町村は具体的な施策の策定や現場対応など、それぞれの立場に応じた役割を担っています。
また、空き家問題が深刻な地方部の市町村では、人材や資金面が不十分なケースもあり、そのような場合国や県から援助を受けながら対応に当たっています。
また、連携の代表的な例として「全国空き家対策推進協議会」という全国の自治体で構成された協議会があります。
自治体の取り組みを後押しする空家等対策特別措置法とは?
「空家等対策特別措置法」は「空き家の法律」と言われ、空き家対応に関する計画や協議会に対して法的な位置づけを与えたり、自治体に対して一定の権限を付与したりする効力があります。
中でも国民に直接関係してくるのは、特に問題のある空き家を「特定空き家」に指定する制度です。特定空き家に指定した空き家に対しては、自治体は助言や勧告、代執行などを行えるようになりました。
国による空き家問題解消に向けた対策・取り組み
国による空き家対策は、国土交通省がその役割を担っています。対策・取り組みの内容は、個別具体的なものではなく、全国の自治体を人材や資金面で支援しているほか、全国の住宅関連団体と連携したり、モデル事業を行ったりもしています。
また、補助金・助成金の予算確保や空家等対策の推進に関する特別措置法の管理や改正なども行っています。
国による空き家対策の例
・全国自治体を対象とした取りまとめや情報共有 ・空き家対策の担い手強化・連携モデル事業 ・住宅市場を活用した空き家対策モデル事業 ・補助金・助成金 ・空家等対策の推進に関する特別措置法の管理・改正など |
自治体による空き家問題解消に向けた対策・取り組み
全国の自治体が行っている空き家対策は、都道府県と市区町村で異なります。県は市区町村の取りまとめ役が主ですが、市区町村になると個別具体的な内容がメインとなります。空き家バンクも市区町村が主体の事業です。
また、市区町村の独自事業として、空き家を対象とした補助金・助成金を用意している場合があります。
都道府県による空き家対策の例
・市区町村の取りまとめや情報共有 ・市区町村を対象とした研修の実施 ・市区町村を対象とした相談や助言など |
市区町村による空き家対策の例
・空き家の現場対応 ・空き家所有者に対する通知の送付や対応の進捗管理 ・空き家バンクの管理・運営 ・補助金・助成金の交付 |
空き家対策で使える補助金・助成金とは?
空き家対策で使える補助金・助成金は自治体ごとに異なりますが、解体またはリフォームを対象とした補助金・助成金が用意されているケースが多いです。
また、自治体によっては、自治体が定めた特定の用途にリフォームする場合に補助金が交付されるケースがあります。用途の例としては、二世帯住宅のような空き家発生を防止するものや、地域コミュニティの拠点となるような公益性の高い建築物などがあります。
自治体による補助金の例
・空き家の解体に対する補助金 ・空き家のリフォームに対する補助金 ・空き家を特定の用途として使うために行うリフォームに対する補助金 |
企業による空き家問題解消に向けた対策・取り組み
不動産会社や住宅メーカーなど、企業の中にも空き家問題に取り組んでいるところはあります。企業の空き家対策はあくまで事業として行うのが特徴で、事業内容は賃貸・売却・更地にして売却など。上手く活用できれば、空き家を収入につなげることも可能です。
中でも賃貸の1形態として注目されているのが「空き家活用」で、企業が空き家を借上げ、リフォームをしてから利用希望者に貸し出すというものです。
マッチングが成立すれば継続的な収入が発生するため、今まで負担だった空き家が資産へと変わってくれます。
アキサポとは
弊社・ジェクトワンも「アキサポ」という空き家活用サービスを行っています。「アキサポ」は2016年から続く空き家活用サービスの先駆け的存在で、2021年には 空き家活用サービスのブランドイメージ調査で3冠を達成しています。
「アキサポ」の特徴は、空き家オーナーの持ち出し0円で空き家活用が可能なことです。事務手続き費用がかからないのはもちろん、リフォーム費用も「アキサポ」が負担するため、気軽にご相談いただけます。
空き家対策・活用の事例
空き家対策には活用(賃貸)と売却、2つの方法がありますが、実家を空き家として相続した場合、売却に抵抗がある方も多いと思います。
空き家の活用というと不動産屋に頼むイメージが強く、ハードルが高く感じるかもしれませんが、最近では「アキサポ」のようなサービスも登場しており、年々そのハードルは下がっています。
そこでここでは、空き家を活用する3つの方法について解説します。
リノベーション・リフォームして賃貸
事例1:シェアオフィス
築年数 | 53年 |
延床面積(2棟 | 601.50㎡(改修部分のみ) |
構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根4階建て |
活用事例 | シェアオフィス |
社宅として使われていた築53年の建築物をリフォームした例です。建物の立地がビジネスやカルチャーの発信場所である渋谷ということもあり、ビジネスと交流が同居する、シェアオフィスにリフォームしました。
事例2:宿泊施設
築年数 | 不明(明治38年以前) |
延床面積(2棟) | 53.31㎡ |
構造 | 木造瓦葺2階建て |
活用事例 | 宿泊施設 |
風情ある京都白川にある京町屋を1日1組限定のラグジュアリーな宿泊施設にリフォームした例です。
京町屋という建物の個性と、白川という独特な立地を掛け合わせることで、この建物ならではの活用に成功しています。
事例3:貸倉庫
築年数 | 45年 |
延床面積(2棟) | 103.08㎡ |
構造 | 鉄骨造陸屋根3階建て |
活用事例 | 個人向け貸倉庫 |
10年間借り手が付かなかったテナントを貸し倉庫に活用した例です。大手貸倉庫業者と協業し、地元住民を対象にしたことで、地域の方に使っていただける清潔感のある貸し倉庫となりました。
現状建物のまま賃貸
空き家の状態が良ければ、早めにそのまま賃貸に出してしまうのもありです。特に空き家の築年数が浅い場合は借り手が決まりやすい傾向にあるため、相続をしたら手入れをこまめにしておきましょう。
また、賃貸に出す前には可能な範囲で清掃を行い、水回りや壁紙に大きな破損がある場合は必要に応じて修繕を行いましょう。
少しでも美しい状態の方が、不動産情報を見た人の目を引きますし、内見をした際にも好印象となります。
解体し更地にして土地貸し
空き家が古すぎる場合や老朽化が激しい場合など、建物の価値が極めて低い場合は、解体してしまった方が借り手が付きやすい場合があります。
空き家といえど解体には100万円単位の費用がかかるのが一般的で、空き家付きで売却すると、買い手側がその分を負担しないといけなくなるためです。
ただし、住宅が地方部、特に市街化調整区域に立地している場合は要注意。1度解体してしまうと、同じ建築物を再建築できなくなってしまう可能性があります。
そのため、更地にする前に必ず再建築の可否について確認しておきましょう。確認するには、役所の建築担当窓口に問い合わせるか、不動産会社に調査してもらう方法があります。
地方自治体の空き家対策、補助金事例
ここからは、実際に全国で行われている空き家対策や補助金などの事例を見ていきましょう。今回は、空き家件数の多い1都3県と、大阪府、京都府について紹介します。
東京都
対策事業
補助金
・民間空き家対策東京モデル支援事業 ・区市町村に対する都の支援 |
東京都では、不動産、建築、法律などの専門家団体と連携して各団体に空き家の相談窓口を設置したり、区市町村にノウハウや人材面などの支援を行ったりといった対策事業を行っています。
また、財政面では民間団体のモデル事業や、区市町村による地域活性化施設への改修などに対して財政支援を行っています。
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神奈川県
神奈川県では、各市町村による相談窓口の設置や空き家バンク、市町村ごとの支援制度等を行っています。
また、「空き家相談協力事業者登録制度」という、神奈川県居住支援協議会が主体となる、民間との連携事業があり、住宅・建築業界にも相談しやすい体制が整えられています。
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千葉県
千葉県の空き家対策は、市町村ごとの空き家支援制度や空き家バンク制度、相談窓口の設置が主となっています。
県のホームページに情報が見やすくまとまっているため、自分が該当する制度を把握しやすいのがありがたいポイントです。
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埼玉県
埼玉県では、市町村ごとの支援制度や相談窓口に加えて、県独自の「空き家の持ち主応援隊」や「相続押しかけ講座」といった、空き家問題を防止する事業が行われています。
特に、空き家の持ち主応援隊は、空き家相談ができる民間業者を一覧で探すことができ、すでに実績が166もあります。
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大阪府
・市町村による空き家支援制度(一覧表) ・関連団体による空き家相談窓口(一覧表) ・市町村の空き家バンク(空き家バンク設置市町村一覧) ・市町村のリフォーム支援事業(一覧) |
大阪府では、市町村ごとの支援制度や空き家バンク、リフォーム支援事業などがメインとなっています。さらに、関連団体にも空き家の相談窓口が開設されているため、各業種のノウハウを活かした相談を受けることができます。
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京都府
京都府では空き家バンクやリフォーム支援事業などを行っているのはもちろん、独自事業として、「空き家農地一体活用事業」も実施しています。
これは、空き家と農地をそれぞれ地域の資産として考え、これらを一体活用する事業者に対して支援を行うものです。
また、京都市では、空き家の活用や流通を支援する独自の補助金も用意されています。
国・自治体の制度を活用して効率的な空き家対策を
空き家問題はいまや全国的な問題となっており、それだけに国や自治体も多くの支援制度を用意しています。
空き家オーナーからすると個人の問題に感じがちですが、その原因には社会的背景もあるため、一概に個人だけで解決すべき問題とは言い切れなくなっているのです。
空き家問題に直面したら、まず国や自治体に相談を。さらに具体的な解決策が必要な場合は弊社の「アキサポ」のような、空き家を取り扱う事業を行っている企業に相談するのがオススメです。
弊社の「アキサポ」は空き家オーナーの持ち出し0円で始められる空き家対策です。最初の一歩として、ぜひ1度ご相談ください。