公開日:2021.10.27 更新日:2023.11.19
【かんたん解説】路線価とは?路線価が分かると何が分かるのか
路線価は土地価格の重要な指標のひとつで、相続税、贈与税を計算する際の基準として国税庁が公表しています。
ですが「路線価」という言葉自体は耳にしたことがあっても、路線価の調べ方や見方、計算方法などをご存じでない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、路線価の基礎知識から使い道、調べ方、見方、計算方法に至るまで、知って役立つ情報を分かりやすくまとめました。
1.路線価とは何か?路線価が分かると何が分かるか
まず、路線価とはどういったものなのか、基本を押さえていきましょう。
1-1.路線価とは
路線価とは、道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額を指しており、1平方メートルあたり千円単位で価格は表示されます。
たとえば以下の図では、令和3年度の八王子市の路線価が分かります。
⑳と記載されたところに870とあるため、「870×1,000=870,000」となり、該当する土地の路線価は1平方メートルあたり870,000円であることが分かります。
1-2.路線価は税金の計算や不動産の価値が分かる
路線価は相続税、贈与税の計算に使用したり、不動産の購入を検討している場合に実際の取引価格を推測するときに使用したりします。
土地につけられる公的な価格は一物四価といわれ、4種類あります。
①公示価格 ②基準地標準価格 ③固定資産税評価額 ④相続税評価額 |
それぞれの特徴を以下の表にまとめています。
公示価格 | 基準地標準価格 | 固定資産税評価額 | 相続税評価額 | |
内容 | 一般の土地取引価格の指標となる価格 | 一般の土地取引価格の指標となる価格(公示価格の補足) | 固定資産税、不動産取得税などの計算の基礎となる価格 | 相続税や贈与税の計算の基礎となる価格 |
決定機関 | 国土交通省 | 都道府県 | 市町村 | 国税庁 |
基準日 | 1月1日(毎日) | 7月1日(毎年) | 1月1日(3年に1度) | 1月1日(毎年) |
公表日 | 3月下旬 | 9月下旬 | 3月または4月 | 7月1日 |
路線価は、この表中の相続税評価額とイコールで使われ、公示価格と基準地標準価格の8割になるという特徴があります。
つまり、路線価が分かると実際の取引価格を予想できるのです。
ただ、実際の取引価格というものはさまざまな要因が絡むので、一概には言えません。
売主が早急に現金が必要だから多少値段を下げても早めに買い手がついてほしい状況であれば価格は下がるでしょうし、逆に買いたい人が多くいたり売れるまでの時間が多少かかってもよい状況であれば値段は高くてもよいので上がるでしょう。
適正価格の判断材料になる路線価。
売り手と買い手、お互いの納得の上であれば価格は正直いくらでも構わないのですが、基準がまったくないと値段がつけにくいため、基準の価格としての役割を持っています。
2.路線価の調べ方や手順
路線価は国税庁の路線価図・評価倍率表のページに飛ぶと、過去6年分ほど遡って簡単に調べられます。
都道府県別になっているので、調べたい路線価のある住所を選択していくと地図が表示されます。
たとえば東京都中央区銀座の路線価を調べたいときは、
①「東京都」を選択 ②「中央区」を選択 ③「銀座1」「銀座2」など調べたい住所を選択 |
手順に沿って調べていくと、上記のような地図が出てきます。
調べたい路線価のある地図を選択して調べる際に活用してください。
3.路線価の具体的な計算方法
次に具体的な計算方法について解説します。
毎年7月1日に路線価が国税局や各地税務署で発表されるので、贈与や相続によって土地を取得した場合には、取得した年の路線価を使って計算をしていきます。
例えば1月や2月に相続があった場合には、7月1日の発表を待つ必要があり、前年の路線価を使ってはいけません。
3-1.路線価図の見方、記号の意味
路線価を見ると、記号や数字、難しい言葉が並んでいてものすごくとっつきにくそうな印象を受けます。
ただ、理解しておけば難しいことはありません。
3-1-1.路線価図の記号は地区を表す
路線価図の左上に表記のある地区は、ビル街地区や高度商業地区、工場地区などの地区を表しています。普通の線になっているところは、通常の住宅地区を示します。
3-1-2.路線価に並ぶ数字は路線価を表す
路線価上に並んでいる数字は路線価を表しています。
たとえば、「140D」と記載があれば単位は千円なので、140千円、つまり140,000円になります。路線価は、1メートル×1メートルあたりの単価なので、1平方メートルあたり140,000円ということです。
3-1-3.路線価図の右側にあるのは借地権割合
路線価図上部の右側に表記のあるアルファベットは借地権割合です。
アルファベット | 借地権の割合 |
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
借地権は、建物を建てるために土地代を支払って、他人から土地を借りる権利のことをいいます。土地を所有できる所有権と異なり、借地権はあくまで「その土地を借りる権利」であるため、建設した建物を売却するには地主の許可が必要であったり、契約更新があったりと、所有権に比べると自由度は低くなります。
では肝心の「借地権割合とは何か?」ですが、そもそも借地権が設定された土地には、地主側の権利である「底地権」と借地人の権利である「借地権」の2つが存在しており、それぞれの権利のうち、借地権が占める割合のことを借地権割合といいます。
分かりやすく表現すれば、この借地権割合に則り「土地の財産価値を地主と借地人で分け合う」ことを意味し、借地権割合が大きいほど、その土地の利用価値は高くなります。
3-2.路線価図を基にした相続税評価額の計算方法
ここでは実際の路線価図を基に、相続税評価額を計算します。
例として千葉県松戸市の路線価図にある、赤で印をつけているところの相続税評価額を出してみましょう。
3-2-1.自用地の場合
まずは自用地として土地を所有する場合の相続税評価額を計算します。
印を付けた場所は「140D」と記載されているため、仮に面積が100平方メートルとすると、相続税評価額は以下となります。
140,000(円)×100(平方メートル)=1,400万円
該当する場所の借地権割合はDに区分されていますが、自用地であり借用地ではないため、考慮する必要はありません。
ちなみに、土地の形状によっては相続税評価額の補正が認められています。「接している道路からの土地の奥行きが深すぎる」「形がいびつ」といった特徴を持つ土地は比例して利用価値も低くなるため、同様に評価額も減額できるよう価格補正制度が存在しているのです。
補正には以下5種類が存在しており、どれか1つだけでなく組み合わせが起きる場合もあります。
補正の種類 | 内容 |
奥行価格補正 | 宅地の奥行が短い・長い |
不整形地補正 | 宅地がいびつな形状をしている |
間口狭小補正 | 用途に対しての間口が狭い |
奥行長大補正 | 間口に対しての奥行が長い |
がけ地補正 | 宅地にがけがある |
3-2-2.借用地の場合
続いては借用地の場合の相続税評価額計算方法です。
土地全体の評価額自体は、前述の「140,000(円)×100(平方メートル)=1,400万円」をそのまま流用します。
指定の場所には「140D」と記されており、Dの借地権割合は60%であるため、以下の計算式が成り立ちます。
「140,000(円)×100(平方メートル)」×0.6=840万円
上記は借地人の相続税評価額であるため、地主(底地権者)側の場合は借地権割合を減額し、残りの割合を乗じて以下のように相続税評価額を求めます。
「140,000(円)×100(平方メートル)」×(1-0.6)=560万円
※補正率は考慮せずに計算
4.まとめ
路線価は普段あまり耳にせず、難しく感じるかもしれませんが、計算式さえ理解すれば一般の方でも計算できます。
路線価は、国税庁のホームページでいつでも誰でも確認ができますので、路線価を調べたい住所を入力してチェックしてみてください。
路線価の計算ができると、不動産を売却するときのヒントにもなりますし、相続や贈与を受けた際の相続税・贈与税のおおよそ金額の確認にもなります。
しかしながら、路線価で算出した価格はあくまでも目安であり、実際の売買にあたっては近隣の取引事例や需要、周辺環境などを加味して価格が決定されるため、想像以上に複雑なのも事実です。
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