公開日:2021.07.26 更新日:2024.09.02
空き家の相続放棄するメリット・デメリットとは?管理義務の有無も解説
相続する財産が古い空き家だけだった場合、「相続するよりも放棄してしまったほうが、管理の手間などがかからないのでは?」と思う方がいるかもしれません。
しかし、空き家の相続放棄には、メリットとデメリットの両方があります。空き家の相続放棄を検討している方は、相続放棄によってどうなるのかを正しく理解しておきましょう。
ここでは、空き家の相続放棄には、どのようなメリットとデメリットがあるのか解説します。
相続放棄とは、遺産を受け取る権利をすべて放棄すること
相続放棄とは、被相続人の遺産を受け取る権利をすべて放棄することを指します。相続放棄をした場合は「最初から相続人ではなかった」という扱いになり、基本的に遺産に対するあらゆる権利と義務を失います。
そもそも相続とは、ある方が亡くなったときに、当該の故人(被相続人)の財産を引き継ぐことです。民法では、遺言書がない場合には、被相続人の配偶者と被相続人の血縁者のうち一定の人たちを法定相続人として定めています。
相続ではプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継がれてしまうため、相続人となる配偶者や血縁者には、相続を放棄するという選択肢が用意されています。
相続放棄をすると、プラスマイナス問わず、すべての遺産を相続できません。借金を返す必要がなくなる一方で、遺産に含まれていた不動産や預貯金などを自分のものにすることもできなくなってしまいます。
空き家を相続放棄するメリット
空き家を含む遺産の相続放棄をすることで、遺産に関する一切の責任を負う必要がなくなります。空き家の相続を放棄するメリットを2つご紹介します。
借金や不要な財産を相続する必要がなくなる
空き家の相続放棄をするということは、空き家以外のすべての遺産について、一律に相続する権利を放棄するということです。前述のとおり、故人に借金などのマイナスの遺産があった場合、相続放棄をすることで返済の義務を負う必要がなくなります。
資産価値の見込めない空き家などは、相続することがかえってデメリットとなりうるでしょう。相続後は相続人が空き家の所有者になりますが、「もらっても困る」「処分が難しい」といったケースも存在するかもしれません。遺産にこのような財産が含まれるときは、相続放棄のメリットがあると考えられます。
固定資産税を支払う必要はなくなる
空き家の相続放棄をすれば、その後の固定資産税を支払う必要がなくなります。固定資産税は、1月1日時点で不動産を所有している方が負担する税金です。相続放棄をすれば、不動産の所有者になることもありませんから、年々発生する固定資産税の支払い義務も生じません。
なお、故人に固定資産税の滞納分があった場合は、通常、相続人が税金の支払い義務を引き継ぎます。しかし、相続を放棄すれば、滞納していた税金を支払う必要もありません。
空き家を相続放棄するデメリット
空き家の相続放棄には、複数のデメリットもあります。ここでは、空き家の相続を放棄するメリットを3つご紹介します。
相続放棄の撤回はできない
一度相続放棄をすると、撤回することができません。「空き家の管理が面倒だから相続を放棄しよう」と手続きをした後、空き家以外の預貯金などが見つかったとしても、再び相続人に戻ることはできないのです。また、空き家自体に思わぬ活用方法があったということも考えられます。
空き家の相続放棄をするときは、本当に放棄してしまっていいのか、十分に検討しましょう。
相続人が変わることによりトラブルが生まれる場合がある
先述したとおり、相続人は、被相続人の配偶者と被相続人の血縁者であると民法で定められています。血縁者の相続順位は、子供、親、兄弟姉妹の順番となっています。
相続放棄は相続人全員が行うことも、一部の方のみが行うことも可能です。最も相続順位が高い血縁者全員が相続を放棄した場合は、次に相続順位が高い血縁者に、相続人が変わることになります。
例えば、妻と息子がいて、弟もいる方が亡くなったとき、相続人は妻と息子となりますが、息子が相続を放棄すると、相続人は妻と弟に変わります。
相続放棄の結果、相続人になる方が詳細を知らないと、トラブルにつながる可能性もあるでしょう。相続放棄を考えているときは、その後、相続人になる可能性のあるすべての血縁者に連絡をしておくことをおすすめします。
空き家の管理義務が残る場合がある
空き家を相続放棄しても、空き家の管理義務が失われない場合があります。原則として、相続を放棄すると、被相続人のすべての遺産に関する権利や義務は消滅します。
しかし、放棄した財産を管理する方がいなくなると、空き家などは荒れ放題になってしまうでしょう。そこで、民法第940条では、相続放棄をした際の遺産の管理について下記のように定めています。
<民法第940条の条文>
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
「第九百五十二条第一項の相続財産の清算人」とは、相続人全員が相続放棄をした場合などに、本来の相続人の代わりに被相続人の遺産を管理する相続財産清算人のことです。空き家を「現に占有している」と認められたときは、相続財産清算人や新たに相続人になった方に空き家を引き渡すまでのあいだ、管理義務が生じます。
現に占有しているというのが具体的にどのようなケースを示すのかは、個別に判断されます。例えば、遺産となった空き家に居住している状況は、この規定に該当すると考えられます。不安なときは、弁護士などに相談してみてください。
空き家を相続放棄する前に、活用方法を考えてみよう
相続放棄すると、遺産を受け取る権利をすべて放棄することになります。空き家以外の遺産がある場合は、空き家だけを相続放棄することはできないので、慎重に考える必要があります。
とはいえ、空き家を相続しても誰も住む人がいないし、手に余るということもあるでしょう。そのようなときは、空き家の有効活用も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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