一戸建ての売却を検討する際は、売却の準備や流れを把握することが大切です。売却にはさまざまな手順があるため、準備をせずに進めていると、余計な手間がかかってしまうこともあります。

この記事では、一戸建ての売却に必要な事前準備や、売却までの流れについて解説します。一戸建て売却をスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてください。

一戸建てを売却する前に確認すること

一戸建てを売却するときには、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。確認するポイントについて、詳しく見ていきましょう。

住宅ローンの残債

一戸建てを売却する際は、原則として住宅ローンを完済しなければなりません。買主に物件を引き渡すとき、住宅ローンを完済することで抵当権をなくす「抵当権抹消」を求められるためです。

不動産における抵当権とは、金融機関などから住宅ローンの融資を受ける際に、土地と建物に対して債権者が設定する権利のことです。万が一、住宅ローンの返済が滞ったときに、債権者は抵当権を実行することで、不動産を差し押さえられます。

抵当権が設定されたままだと、売主が住宅ローンを滞納していた場合、その家が債権者に差し押さえられ、買い主は購入したはずの家を失ってしまうことになりかねません。

住宅ローンの残債がある場合は、通常、売却代金で住宅ローンを返済します。事前に金融機関に問い合わせて残債額を確認し、売却価格で返済できるか調べましょう。

売却にかかる費用

一戸建ての売却にかかる費用についても、事前に確認しなければなりません。一戸建ての売却では、売却を依頼した不動産会社への仲介手数料や譲渡所得税などの各種費用が発生します。この費用の合計額は、売却価格の約5％といわれています。費用は売主が負担することになるため、事前に何にいくらかかるのかを把握するのが大切です。

<一戸建ての売却にかかる費用の例>
・仲介手数料
・印紙税
・抵当権抹消登記費用
・住宅ローン一括返済手数料
・譲渡所得税（所得税・復興特別所得税）

売却に必要な書類

一戸建ての売却で必要な書類についても、早めに用意しておくとスムーズに進められます。主な必要書類は、下記のとおりです。

<一戸建ての売却に必要な主な書類>
・登記済証（権利証）または登記識別情報
・本人確認書類
・物件の間取り図
・確認申請書、確認済証、検査済証
・固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
・印鑑証明書
・固定資産評価証明書
・住民票
・土地測量図・境界確認書
・抵当権抹消書類

また、実印が必要になることも多いため、用意しておきましょう。

建物と土地の名義人

一戸建ての売却では、建物と土地の名義人を確認することも大切です。

不動産の売却は、原則としてその物件の名義人のみが行えます。売買契約書などの書類への記名・押印は名義人が行わなければならず、所有権を名義人から買主に移す手続き（所有権移転登記）においても、名義人の本人確認が必要です。しかし、相続した一戸建ての場合、名義人が複数存在するケースもあります。共有名義の不動産を売却する際は、原則として共有者全員の同意を得なければなりません。

また、土地と建物の名義人が異なるケースも考えられます。土地と建物の名義が異なる場合は、それぞれの所有者が自己の所有物を独立して売却できます。ただし、土地と建物を同時に売却することも多いため、その際は双方の合意が不可欠です。

土地の境界

隣地との境界線が確定していない不動産を売却すると、将来的に隣家とのトラブルを招くリスクがあります。境界が不明確な場合、まずは法務局で登記簿謄本や地積測量図を取得して確認しましょう。

ただし、これらの資料だけでは境界を完全に特定できないケースもあります。その場合は、売却前に隣地所有者と境界確認を行うことが望ましく、土地家屋調査士などの専門家に依頼した上で、境界確定測量をするのが確実です。境界確定により、土地の所有権が明確になり、将来的なトラブルを防げます。

一戸建てを売却する流れ

一戸建てを売却するときは、どのようなステップを踏んでいけばいいのでしょうか。ここでは、不動産仲介による、一戸建て売却の主な流れを紹介します。

1　査定依頼

一戸建て売却の第一歩は、複数の不動産仲介会社に査定を依頼することです。査定では、物件の場所はもちろん、最寄り駅からのアクセスや日当たり、騒音、家の状態などを細かくチェックされます。各社の査定結果を比較することで、より適切な売却価格を把握できるでしょう。

2　媒介契約

契約する不動産仲介会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約の方法は、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の中から選択します。

■媒介契約の方法別の特徴

契約方法	同時に複数の会社との契約	自身で買主を見つけたときの対応
専属専任媒介契約	・1社のみと契約 ・不動産仲介会社の全面 サポートを受けられる	不動産仲介会社を介す
専任媒介契約	・1社のみと契約 ・不動産仲介会社の サポートを受けられる	仲介なしで交渉可能
一般媒介契約	・複数の不動産会社 との契約可 ・積極的なサポートは 期待しづらい	仲介なしで交渉可能

3　売却活動

媒介契約の後は、売却活動です。不動産仲介会社は、購入希望者の探索や内覧の対応などをします。インターネットや折込チラシなどで、幅広く情報を発信しながら買い手を探し、内覧では物件の魅力を内覧者にアピールする必要もあるでしょう。

4　売買契約

売却活動を経て買主が決まった後は、売買契約の締結です。買主と売主、それぞれの不動産仲介会社の立ち会いのもと、行われます。

売買契約時の主な内容は、重要事項説明書の読み合わせ、売買契約書の内容確認、そして必要書類への署名・押印です。一般的には、売買契約の際に買主から手付金が支払われます。

5　決済・引き渡し

売買契約を終えたら、決済と物件の引き渡しです。売買代金から手付金を差し引いた残代金が決済され、鍵の引き渡しを行います。この時点で、物件の所有権が正式に買主に移転します。

6　確定申告

最後に、一戸建て売却で譲渡所得（利益）が発生した場合は、確定申告で譲渡所得税の納付が必要です。譲渡所得の申告は、売却した翌年の3月15日までに行わなければなりません。税金の計算方法や特例適用の可能性もあるため、専門家に相談することをおすすめします。

一戸建ての売却では、仲介以外の方法も検討しよう

一戸建てを売却する際には、事前にさまざまな準備をする必要があり、売却までの流れも把握しておくことが大切です。売却を円滑に進めるためには、信頼できる不動産仲介会社を選び、適切なサポートを受けましょう。

また、売却までの期間を短縮して現金化を急ぐ場合は、不動産買取による売却もおすすめです。不動産仲介では売却までに3～6ヵ月程度かかりますが、不動産会社が物件を買い取る不動産買取では、数日から1ヵ月程度で売却できる場合もあります。仲介を経て、個人の買主を探す必要がないため、売却までの時間を大幅に短縮できます。

不動産買取は、株式会社ジェクトワンが運営する空き家解決サービス「アキサポ」に、ぜひご相談ください。不動産の売却について、さまざまな選択肢の中から最適なプランをご提案いたします。一戸建ての売却に関するお悩みにもお応えしますので、お気軽にお電話やお問い合わせフォームからご連絡ください。

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